【10月25日 marie claire style】10月10日からパリのポンピドゥ・センターで、国際的な建築家の巨匠として、世界の頂点にいる安藤忠雄の展覧会が開催されるという。日仏友好160年「ジャポニスム2018」というイベントの一環だが、タダオ・アンドー・ファンのパリジャン、パリジェンヌにとっては、絶対に見逃せない今秋のハイライトといえる。

 それだけでなく、パリの中心部に位置する19世紀を代表する建築物、ブルス・ドゥ・コメルス(商工会議所)が、安藤忠雄の手によって新しく生まれ変わり、フランソワ・ピノー率いる「グッチ」などのケリング・グループの現代アート美術館として、2019年にオープンするという。現在パリはその話題で持ち切りなのだ。

「フランソワ・ピノーを紹介してくださったのは、カール・ラガーフェルドでした。これまで、トム・フォードの自邸や、カールのスタジオなど、著名なデザイナーと仕事をする機会に恵まれました。ファッション界の人たちはなかなか繊細な一面もあって細かな要求も多いですが、豊かな感性があり、一緒に仕事をすることは大変刺激になります」

 インタビュー場所は大阪にある安藤忠雄建築研究所の最上階だった。その建物も自ら手掛けたもので、安藤建築の代名詞とも言えるコンクリートの打ち放しの外観が特徴的だ。

 目下、パリのファッション界とアート界の話題を独占している、現代アート美術館について話を聞いた。

「ブルス・ドゥ・コメルスの内部には、19世紀と現在、そして未来が交錯しています。外観はそのままに残して、古い建物の中にもうひとつの新しい展示空間を挿入したのです。新旧の要素が共存する中で未来を感じる空間をつくれないかと考えました」

───相当前からのプロジェクトだったのですか?

「3年前にパリにいった際、挨拶のつもりでピノーさんに会いにいったところ、この話を伺いました」

 すでに2000年から、フランソワ・ピノーと安藤忠雄は、パリのスガン島で美術館建築の計画を進めていた。それが許可の問題などでやむなく中止となり、結局ヴェネツィアに場所を移して、パラッツォ・グラッシ(2006)やプンタ・デッラ・ドガーナ(2009)といった、魅力的なアート・スペースが生まれることとなった。そうした長年信頼関係から、今回の設計も安藤忠雄に決まったのは、至極当然のことだったのだ。

 インタビューの質問に答えながら、その手を忙しく動かしてスケッチを描き続ける。「時間が足りないから、常に頭と手を同時に動かして仕事をしないと」という。

 さすが超人、時間の設計もオリジナルだ。

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(c)marie claire style/photo:Mark Edward Harris / Contour by Getty Images/text: Kasumiko Murakami