【8月28日 marie claire style】スコットランド貴族出身のスーパーモデル、ステラ・テナント(Stella Tennant)。40代をむかえた今も独特の存在感でクリエイターを魅了し、数々のトップメゾンのランウェイに登場。「トム フォード(Tom Ford)」2014-15年秋冬コレクションではフィナーレを飾り、話題となった。プライベートでは、夫と4人の子供たちとともにスコットランドの田舎で過ごす時間を何よりも大切にしている。年齢を重ねるごとに、輝きを増すステラの魅力に迫る。

 ブルーアイズに黒髪、意志の強さを感じさせる個性的な顔にアンドロジナスなルックスで、スキニーなジーンズがよく似合うトップモデル、ステラ・テナントは今年44歳ながら、今もカール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)の永遠のミューズとして「シャネル(CHANEL)」のショーに毎回登場している。世界の一流フォトグラファーのスティーヴン・マイゼル(Steven Meisel)やマート・アラス&マーカス・ピゴーからも引っ張り凧の活躍ぶりで、相変わらずモード界の中枢で脚光を浴び続けている。40代になってからは、2011年にブリティッシュ・ファッション・アワード(British Fashion Awards)のベストモデル賞を受賞しているし、今もなお若い頃以上に売れっ子モデルなのだ。

 スコットランド貴族の血筋で、故ダイアナ妃(Princess Diana)のいとこ、デヴォンシャー公爵の孫として生まれたステラだが、自分の出生について、こう語っている。

「爵位も遺産も長男が継ぐから、私たちには何もないのよ。子供時代は田舎の家で動物たちの傍らで質素に暮らしていたわ」

 23歳の時に彼女は、英版『ヴォーグ(VOGUE)』の名物モード編集者だったイザベラ・ブロウ(Isabella Blow)に見出された。スティーヴン・マイゼルが「ヴェルサーチ(Versace)」のキャンペーンモデルとして彼女を撮影した時は、「鼻にピアスをした貴族出身のパンク娘」ということで、話題になった。「両親を驚かせようと思って、ウィンチェスターの美術学校にいっていた18歳の時に、鼻にピアシングをしたのよ。8歳で煙草を吸っていたし、ギネスも隠れて飲んでいたわ」

 彼女がデビューした頃は、すでにナオミ・キャンベル(Naomi Campbell)やリンダ・エヴァンジェリスタ(Linda Evangelista)がスーパーモデルとして活躍していたので、遅れてやってきたステラは、なかなか仲間に入れてもらえず、その不安を隠すためによく楽屋でガムを噛んでいたという。

 今ではそうした反抗的な頃の記憶は遠い出来事になり、貴族出身の母エマ・キャヴェンディッシュのようなエレガントな風格を身につけ、「ショーメ(CHAUMET)」などの本物のジュエリーを愛するレディーとして、「シャネル」のランウェイの常連として、モード界でも際立ったオーラを放っている。

「カール(ラガーフェルド)の前にいると、なんだか自分がピカソの前に立ったドーラ・マールになった気分だわ」。アーティストとそのミューズという2人の関係は、今もなお続いているのだ。

 1995年、25歳の時に、当時マリオ・テスティーノ(Mario Testino)のアシスタントをしていたフランス人フォトグラファー、デヴィッド・ラスネットと出会い、99年に結婚したステラは、現在はスコットランドのエディンバラにある18世紀の城に住み、夫と4人の子供たちに囲まれて、田園生活を満喫しているという。

「私はたしかにスノッブ、それも英国風スノッブかもしれない。セーターも、穴があきそうなほどすり切れたカシミアのものがいいし、ブーツも革でなく、ビニールのものがいいわ。ツイードのパンツをそのブーツの中に入れて履くのよ」と語っている。

 英国貴族風なカントリー・ライフといえば、1920年代にココ・シャネル(Coco Chanel)も、当時交際していた英国貴族、ウェストミンスター公爵のヒュー・グロブナーに誘われて、広大な領地のある城で暮らしている。そしてそこでみた乗馬や狩りの服装は、その後ココに影響を与えていく。

 21世紀になった今、スコットランド貴族出身でモデルのステラが、エディンバラの城で暮らしながら、ココが創設したメゾン「シャネル」のミューズになっているというのは、とても理に適っているといえるかもしれない。

 ともあれ40代になってからも、第一線で活躍するモデルであり続けるステラの姿は、多くの女性に勇気を与えているに違いない。

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(c)marie claire style/photo:Willy Vanderperre/art partner/amanaimages/text: Kasumiko Murakami