【9月11日 MODE PRESS】カトリーヌ・レヴィとシゴレーヌ・プレボアによるTsé&Tsé associées(ツェツェ・アソシエ)は、これまで数々のユニークな作品を世に送り出してきた、今や世界中で人気のクリエーターだ。デビュー作であり代表作でもある、「Vase d’avril」(四月の花器)は、ポンピドゥー・センターの永久定番商品として取り扱われており、現在でもクリエイティブな新鮮さを失わない。全く異なる文化や年代のもの、見過ごされてしまったデザインも、彼女たちのフィルターを通せば、カラフルで、ユーモラスに生まれ変わる。13年ぶりに来日した2人に、長年、Tsé&Tsé associéesのプロダクト全ラインを扱うH.P.DECOでインタビューした。

■インタビュー:カトリーヌ・レヴィ、シゴレーヌ・プレボア

-代表作「Vase d’avril」(四月の花器)の誕生秘話

 学校を卒業したとき、まだ自分になにができるかわからなかった。けれど、花が好きだから、花瓶をつくったり、光が必要だから、照明をつくった。今もそうだけれど、挑戦するということの連続だったわ。失敗も沢山あるのよ。でもそれで終わるのではなくて、次に繋げる努力を惜しまなかった。ダメなら視点を変えて、新しいカタチでつくってみること。

 代表作「4月の花器(Vase d'Avril)」は、1輪の花でもステキな見せ方ができないかと、考えたことがきっかけ。大きな花瓶に花を活けるのはもちろんステキだけれど、小さい頃に見た絵本のなかで日本の生け花を知ったので、少ない花でも美しく見せることができると思い出したの。そこから、試験管を何本か買っていくつものパターンで試作品をつくったの。そうしているうちに完成したのが四月の花器。自分たちも本当に満足している作品よ。当時パリではフローリストのクリスチャン・トルチュが人気で、彼が作る花はとても美しく憧れていたのだけれど、この作品ができたときに、まず見て欲しかったのがまさしく彼だったの。実際に、見て貰ったし、作品をお店でも取り扱ってくれているのよ。

 パリのポンピドゥセンターでは、永久定番商品として取り扱っているけれど、それよりもこの花器を20年使っているという人に会うと本当に心躍るような気持ちになるわ。

-大切なこと・・・

 私たちにとって大切なことは、住んでいる環境や日常のなかで歓びを探すこと。日常生活でなにか楽しみをもたらすような物をつくりたいの。多くの人に、そういった喜びを日々のなかで発見してほしい。私たちが作ったものを大事に使ってくれているひとたちは、作品に対しての思い入れや愛情がとても深い。使うことによってさらに愛情が増し、使い続けることで、その人自身のものになるという感覚なのかしら。

 ヒヤヒヤしながら使うような高価なものよりも、日常生活で実際に使えるものを作りたいの。普段のなにげない生活のなかから沢山の影響を受けているし、世界中どこにいっても一番興味があるのは、その国のひとたちの暮らしぶり。なにを使ってどんな暮らしをしているか。食べる、飲むという目的は同じでも、国によって文化によってアプローチの仕方が違うように、その違いが私たちにとってはなによりも興味深いことなのよ。【岩田奈那】

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