【ロンドン 9日 AFP】エキセントリックな帽子がトレードマークのスタイリスト、イザベラ・ブロウ(Isabella Blow)が7日、がんのため48歳で亡くなった。イザベラは、デザイナーのアレキサンダー・マックイーン(Alexander McQueen)やフセイン・チャラヤン(Hussein Chalayan)、ジュリアン・マクドナルド(Julien MacDonald)、 モデルのステラ・テナント(Stella Tennant)、ソフィー・ダール(Sophie Dahl)といった数々の才能を発掘してきた。

■数々の才能をいち早く発掘

 92年にイザベラは、全くの新人だったアレキサンダー・マックイーンのセントラル・セント・マーチンズ(Central Saint Martins)卒業コレクションを5000ポンド(約120万円)もの高値で購入。

 アイルランド出身の帽子デザイナー、フィリップ・トレーシー(Philip Treacy)との交流も有名だ。‘クロコダイルの歯’を思わせる緑色のフェルト帽を彼女のもとに持ち込んだトレーシーの才能にいち早く気づいた彼女は、自らが広告塔となり彼の作品を多くの人々の目に触れる機会を増やした。2002年には、2人の交流によって生まれた帽子を集めた特別展「When Philip met Isabella」がロンドンのデザインミュージアム(Design Museum)で開かれた。

■アナ・ウィンターのアシスタントとしてキャリア開始

 1985年にロンドンに生まれたイザベラは、79年にアメリカに渡り、ロックミュージシャン ブライアン・フェリー(Bryan Ferry)の紹介で、米国版「ヴォーグ(Vogue)」のファッション・ディレクターだったアナ・ウィンター(Anna Wintour)と出会った。アナのアシスタントとして経験を積んだ後、86年にロンドンに戻り雑誌「タトラー(Tatler)」や英国版「ヴォーグ」で活躍した。

 アナ・ウィンターは、イザベラについてタイム(The Times)誌の中で「個々の持つ才能を信じる、自由な精神を持っていた。社風が全てを決定する世界において、彼女の存在は喜びそのものでした」と述べている。 トレーシーは「ガーディアン(Guardian)」紙の中で「イザベラは、自分のことを‘トリュフを探す子豚’と表現していました。アレキサンダー・マックイーンやステラ・テナント、ソフィ・ダル、そして私も。彼女にとってはみんながトリュフなんです」とコメントしている。

「タトラー」誌のエディターは、「イザベラは常に輝いていた。素晴らしい想像力と創造性を持ち合わせており、全てが驚きに満ちていた」と語った。

 写真はフィリップ・トレーシーの2000年春夏コレクション(2000年1月18日撮影)。(c)AFP/JEAN-PIERRE MULLER