【12月7日 marie claire style】ジェーン・バーキンとセルジュ・ゲンズブール。先鋭的な芸術活動やファッションが注目を浴び、1970年代を代表するカップルとして語り継がれている二人。彼らの愛のものがたりは、たった一晩のディナーから始まったのだ。

 映画音楽家、ジョン・バリーとの離婚の苦しみを乗り越えて、渡仏したジェーン。映画『スローガン』のカメラテストに来た彼女とゲンズブールが出会ったのは、1968年のことだ。

「撮影が開始され、ワンシーンを撮り終えたセルジュは不機嫌そのものだったわ。『なんて傲慢な人なの!』それが第一印象よ」。当時ブリジット・バルドーとの恋が終わったばかりの彼は、仏語が下手なジェーンに当たり散らしていた。険悪なムードを心配した監督が、二人だけのディナーをセッティング。それがきっかけで運命が動きはじめていく。

 その夜、二人はナイトクラブで、ポエティックで魅惑的な時間を過ごすことになるのだ。

「嫌がるセルジュを無理矢理ステージに連れ出して、スローダンスを踊ったの。何度も彼に足を踏まれながらね(笑)。でも、すぐにすべてを理解したわ。彼の傲慢さは、シャイな性格の裏返しだということに。ダンスが終わった瞬間に、チャーミングでユーモアに溢れた魅力的な人だと気がついたの!」

 夜が更けるにつれ、二人は親密になっていった。帰り際に彼が聞いた。「さて、あなたのアパルトマンへ送っていこうか?」と。ジェーンは即答する。「ノン! あなたとホテルへ行くわ」。ホテルのバスルームで身支度を整えた彼女がサロンへ戻ると、すでにゲンズブールは寝ていた。「楽しい夜をまだ終わらせたくなくて、一晩中踊るためにドラッグストアにディスクを買いに行ったの。でも、戻ってからも眠り続ける彼の足の間にディスクをはさんで、私はそっと部屋を出たわ。とても幸せな気分だった。だって欲望をそそる男、すべてを失ってもいいと思える男に出会えたんだもの」。こうして運命のカップルが誕生する。エスプリの効いた恋の駆け引きと、奔放さ。それこそがジェーン・バーキンが"伝説の男"ゲンズブールに愛された理由なのかもしれない。

 ジェーン・バーキンは1946年ロンドン生まれ。女優、歌手。セルジュ・ゲンズブールは1928年フランス生まれ。数々のヒット曲を手掛けた音楽家兼俳優。

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(c)marie claire style/photo: Everett Collection/amanaimages/text: Hiroko Suzuki