7月31日、ソウルの国連人権事務所前で、脱北者の呼称変更に反対する記者会見を開く北朝鮮離脱住民中央会の関係者ら(c)news1
7月31日、ソウルの国連人権事務所前で、脱北者の呼称変更に反対する記者会見を開く北朝鮮離脱住民中央会の関係者ら(c)news1

【08月04日 KOREA WAVE】韓国の脱北者団体が、統一省が「北朝鮮離脱住民」の略称である「脱北民」を「北郷民」に変更しようとしていることに反発し、国連人権高等弁務官事務所に申し立てを提出した。

北朝鮮離脱住民中央会は7月31日、ソウルの国連人権高等弁務官事務所前で記者会見を開き、法的名称である「北朝鮮離脱住民」を「北郷民」に事実上変更する動きは人権侵害に当たるとして、国連に対応を求めた。

統一省は2025年から、「北朝鮮を故郷とする人」という意味の「北郷民」を、「脱北民」に代わる呼称として政府行事や文書で使っている。

政府は、「脱北民」という表現には否定的な印象やレッテルを貼る効果があり、より包摂的な社会統合を進めるためだと説明している。

しかし、呼称変更を巡る脱北者社会の意見は一致していない。過去には、統一省が実施した名称に関する意識調査に参加できなかったとして、脱北者が国家人権委員会に人権侵害の申し立てを提出した。

人権委員会は、「北郷民」の使用は省庁の政策的裁量に当たるとして申し立てを退けた。一方で、当事者との十分な合意が得られたとは言い難いとして、政府に公論化など手続き上の正当性を確保するよう勧告した。

北朝鮮離脱住民中央会は、統一相が多くの脱北者の意見を無視して「北郷民」という呼称を押し付けていると主張した。

同団体は、世論調査で回答者の53.4%が名称変更は不要だと答え、代替呼称では「自由民」が最も多かったにもかかわらず、「北郷民」が採用されたと批判した。

また、「脱北民」という呼称は、北朝鮮から命懸けで脱出した勇気ある行動と、その成功を意味するものだと訴えた。

一方、統一省は団体の記者会見を政治的な動きだと批判し、「北郷民」の使用を続ける方針を示した。

統一省は、国家人権委員会が呼称変更を人権侵害ではないと判断して申し立てを退けた事案だとして、人権侵害だと主張して国連に申し立てたことに遺憾を表明した。

また、「脱北民」という呼称の否定的な印象やレッテル効果を理由に、以前から変更の必要性が指摘されてきたと説明した。

そのうえで、脱北者団体を含む各方面からの意見聴取や研究、専門家の助言を総合的に検討して「北郷民」を使うことにしたと強調した。

統一省は今後も、認識改善と社会統合を進めるため、「北郷民」という呼称の使用を奨励し、広げていくとしている。

(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News