【4月18日 東方新報】中国ではここ数年、「早C晩A」というフレーズが流行語となっている。直訳すれば、「朝がCで夜はA」。もともとはスキンケアの組み合わせを指し、「朝はビタミンC入りの製品、夜はビタミンA入りの製品を使うとスキンケア効果が最大になる」という意味だ。

 しかし最近は新たに「朝はコーヒー(Coffee)で目覚め、夜はアルコール(Alcohol)で眠る」と別の意味で使われるように。おいしいコーヒーとアルコールをたしなむことは「現代の若者の延命グッズ」とまで言われている。

 こう聞くと、「中国ではこれまでコーヒーもアルコールも飲んでなかったの?」と疑問に思うだろう。まず、「お茶の国」中国では実際それほどコーヒー文化は広がっていなかったが、急激な経済成長と共に育った90後(1990年代生まれ)や00後(2000年代生まれ)の若者を中心に近年、急激にコーヒーブームがわき起こった。街角では国内外のコーヒーチェーンや個性的なカフェが林立し、上海市は世界で最もコーヒー店が多い都市となった。そうして「朝はまずコーヒー」という習慣が定着しつつある。

 ではアルコールはというと、こちらは当然、昔から飲むのが習慣だ。代表的なのがコーリャンやトウモロコシなどを原料とした蒸留酒「白酒(Baijiu)」。アルコール度数は50度以上が多く、仲間同士で一杯ごとに「乾杯」をしながら文字通り飲み干し、深酔いするのが典型的なスタイルだ。

 しかし最近の若者が言う「アルコール」とは白酒のことではない。ワインやウイスキーのほかリキュール、カクテル、果実酒、ソーダ酒などの低アルコール飲料だ。いくら白酒を飲んでも酔いつぶれず、仲間に「漢(おとこ)っぷり」を見せつける飲み方ではなく、低アルコール飲料で「微醺(ほろ酔い)」を楽しむ。やはり最近定着してきた「悦己消費(自分を楽しませる消費)」という言葉通り、自分の生活に潤いを与えるように低アルコールを味わうことが新しいライフスタイルとなっている。酒席といえば以前は男性中心だったが、最近は男女で飲むのも普通となっている。

 こうした若い男女向けの低アルコール飲料が次々と誕生しており、健康志向を反映した「糖質ゼロの発泡酒」も発売されている。白酒の最大手メーカー・貴州茅台酒(Kweichow Moutai)も低アルコールカクテルを発売し、同じく白酒の老舗、瀘州老窖(Luzhou Laojiao)はフルーツワインを販売。米コカ・コーラ(Coca-Cola)も「ハードセルツァー」と呼ばれるアルコール入り炭酸飲料を売り出している。

 中国工業情報化部は1月、国内小売りメーカーに「革新的製品」の開発を促すガイドラインを発表し、その中で「若者や海外の消費者に魅力的な低アルコール飲料」の開発も挙げている。今後も国を挙げて低アルコール業界が活発になりそうだ。(c)東方新報/AFPBB News