【10月15日 東方新報】白壁と黒瓦の伝統的な徽州建築が山の斜面に沿って幾重にも並び、丸い竹ざるには真っ赤なトウガラシや黄金色のトウモロコシが広げられている。江西省(Jiangxi)上饒市(Shangrao)婺源県の篁嶺古村では最近、竹かごを手に花柄のスカーフをかぶり、地元ならではの「晒娘服」と呼ばれる衣装を身にまとって写真撮影を楽しむ若い女性が増え、新たな観光風景となっている。
西安市(Xi'an)から訪れた大学生の楊丹儀帆(Yandan Yifan)さんも、友人と「晒娘服」を体験するために篁嶺を訪れた。「SNSでこの衣装を見かけて、一目で気に入りました。すぐにチケットを予約して友人と一緒に来ました」と話す。
「晒娘服」は近年、篁嶺で人気を集めている観光写真撮影の新たな目玉だ。上饒市の篁嶺景勝地で最初の観光写真スタジオを開いた孫潤軍(Sun Runjun)さんは、「以前は『晒秋』の風景を見るだけの観光客が多く、人と風景を結び付けるものがありませんでした」と振り返る。
転機となったのは、農村生活をテーマにした時代劇コメディーのヒットだった。孫さんとチームは「晒秋」の風景を衣装撮影に取り入れ、SNSなどでたちまち注目を集めた。
「晒秋」とは、収穫したトウガラシやトウモロコシなどの農作物を、家の軒先や物干し台に並べて天日干しする地域の伝統的な風習だ。山間部に位置する篁嶺では、色鮮やかな農作物が並ぶ秋の風景が観光名物となっている。
江西婺源篁嶺文旅股份有限公司の曹錦鐘(Cao Junzhong)総裁によると、篁嶺では「晒秋」の文化を軸に、「晒秋」をテーマにした料理や「晒娘」の衣装撮影、村を舞台にしたショーなど、さまざまな観光コンテンツを生み出している。
「当初は『晒秋』の風景を見るだけでしたが、今では『晒秋』をテーマにした宿に泊まり、料理を味わい、ショーを見て、最後には『晒娘』の衣装を身にまとい、農村文化を体験できるようになりました」と曹氏は説明する。
篁嶺のメインストリート「天街」に並ぶ竹細工店や餅菓子店、酒屋では、商品の販売だけでなく、観光客が実際に作業を体験できる機会も提供している。龍をかたどった大型の灯籠「板竜灯」や鶴をかたどった灯籠などの伝統的な灯りも夜間観光に取り入れられ、観光客の目の前で披露される。
風景を見るだけだった「晒秋」は、衣装を着たり、料理を味わったり、実際に手を動かしたりできる多彩な体験へと広がり、その楽しみ方も「風景を見る」ことから「風景の中に入る」ことへと変化している。
「晒工坊」では、ネットユーザーから「晒秋のおばちゃん」として親しまれている汪杏花(Wang Xinghua)さんが観光客を迎えている。篁嶺出身の汪さんは、「晒秋は先祖代々受け継がれてきた農村の風習です。以前は自分たちで育てた農作物を乾燥させ、冬に食べられるよう保存するためのものでした。村で観光業が発展してから、これほど多くの観光客に喜ばれるとは思ってもいませんでした。今では皆さんにも一緒に体験してもらえます」と話す。
近年、「晒秋」の文化は海外にも知られるようになっている。2023年10月には、篁嶺が国連世界観光機関(UNWTO)の「ベスト・ツーリズム・ビレッジ」に選ばれた。「外国人観光客も増えています。竹ざるを持ってトウガラシを混ぜたり、農作物を使って好きな模様を作ったりする方法を一つひとつ教えています。皆さんに『晒秋』の楽しさを体験してもらっています」と汪さんは語る。
風景を眺めて写真を撮るだけだった観光から、自ら手を動かす体験へ。山あいの村で受け継がれてきた日常の農作業から、「晒娘服」を着て楽しむ新たな観光体験へ。古くからの農耕文化が、若者たちのカメラを通して新たな魅力を放っている。(c)東方新報/AFPBB News