最上階はまるで「オーブン」 熱波が変えるフランスの不動産事情

08月14日 11:19


フランス・パリ市内に並ぶ亜鉛屋根の建物(2026年6月26日撮影)。(c)Joel Saget/AFP


【8月12日 AFP】猛烈な熱波に繰り返しさらされているフランスでは今年、住み替えを検討する人々の間で「暑さ」への警戒感が強まる傾向がみられると不動産業者らが語った。希望する条件で急浮上しているのは、雨戸(シャッター)、エアコン、直射日光の当たらない間取りだという。

パリでは今夏、亜鉛屋根で知られる伝統的なオスマン様式の建物最上階の部屋がまるで「オーブン」のようになっている。

パリの不動産会社「FredeLion」のジョゼフ・ダンケ氏は「オスマン様式の建物では、最上階の暑さがまさに耐えがたいレベルになる」とし、ここ数か月で買主の優先事項に変化が見られると語った。同氏は、南向きの窓を警戒する動きも出てきていると指摘した。

現在、新しい部屋を模索中でダンケ氏から部屋を紹介されているというカミーユ・クチュリエさんにとって、屋根裏部屋のようなワンルームで風通しが悪いことから生じる「暑さのリスク」は、大きなマイナス要素となる。

クチュリエさんは「最近は6月どころか、5月にも熱波に襲われる」とし、少なくとも10年、15年先まで「快適に住み続けられるか、それとも暑すぎるとの理由で皆と同じように逃げ出す羽目になるのか」を懸念していると話した。

民間調査機関によると、フランスの住宅の約半数は、実質的に熱がこもりやすい構造になっているという。

また、掲示板サービス「ル・ボンコワン」が6月に利用者1750人を対象に行った調査では、10人中8人が猛暑時に不快感を覚えたと回答し、3人に1人が、熱波がさらに激しくなれば引っ越しを検討すると答えた。

専門家らは、気候変動の影響によりこうした事態は想定されていると警鐘を鳴らす。フランス気象庁は今週、今期5度目の熱波への警戒を呼びかけ、「今後、夏は概してこれまでに経験した夏よりも暑くなるだろう」との見解を示した。

ル・ボンコワンでマーケティングディレクターを務めるソフィー・ブール氏は、熱波がいまや「住宅を選ぶ際の決定的な要素として定着している」と指摘し、「涼しさや夏の快適性は、それ単体で物件を決める大きな基準になっている」と語った。