論文盗用疑惑で英ケンブリッジ大教授を辞任した黒人学者、回顧録出版

08月12日 16:03


英ケンブリッジ大学のキャンパス(2008年6月23日撮影)。(c)SHAUN CURRY/AFP


【8月12日 AFP】論文での盗用疑惑をめぐり英ケンブリッジ大学の教授を数日前に辞任したばかりのジェイソン・アーデイ氏が10日、米国で回顧録を出版した。同氏が盗用疑惑を「私から教授職を奪おうとする一連のキャンペーン」と呼び、人種差別に基づくものだと主張している。

アーデイ氏に対する疑惑は英国の右派系新聞やコメンテーターらによって取り上げられ、同氏が多様性・公平性・包括性(DEI)を推進する取り組みから不当な利益を得ていたと批判されている。

このスキャンダルは、2023年にケンブリッジ大で黒人として史上最年少で教授に就任したアーデイ氏が、博士論文の一部を盗用したと一部の学者やメディアから批判されたことで浮上した。

同氏の回顧録「Great and Unfortunate Things」も注目を集めている。

自閉症と診断されたアーデイ氏は、11歳まで言葉を発することができず、読み書きができるようになったのは18歳の時だったが、37歳でケンブリッジ大の教育社会学教授に就任したという。

米紙ニューヨーク・タイムズが掲載した回顧録からの抜粋で、アーデイ氏は「奇跡的にも、12歳の誕生日の数日前に私は言葉を発した」と記している。

版元である英出版社はこの回顧録について、「盗用の疑惑は一切提起されていない」と強調している。

アーデイ氏は回顧録の中で、「もし私が自身の能力を完全に過大評価していたらどうなるだろうか? 私の物語は、太陽に近づきすぎて墜落したイカロスの物語のように、教訓話に終わってしまったらどうなるだろうか?」とつづっている。

盗用疑惑をめぐる激しい論争による圧力を理由にアーデイ氏は辞任したが、ケンブリッジ大は7日、同氏の任用および終身在職権についての調査を継続すると発表した。

アーデイ氏は、ケンブリッジ大の教授職およびジーザス・カレッジのフェローの辞任を発表した。

タイムズやデーリー・テレグラフなどの英紙は、アーデイ氏の研究業績や私生活に関する複数の調査記事を掲載してきた。

これに対しアーデイ氏は、論文に誤りがあったことは認めたものの、「作り話をするうそつきで、学術不正をする詐欺師であるかのように不当に描写されている」と反論。

さらに、「私から教授職を奪おうとする一連のキャンペーン」は人種差別に基づくものだと主張した。

アーデイ氏の盗用を今年7月に指摘した米国人学者ネイサン・コフナス氏は、過去に人種差別疑惑によりケンブリッジ大のカレッジでの研究員としての活動を終了した経験を持ち、自らを「人種リアリスト」と定義している。(c)AFP