【7月14日 東方新報】ドアを一つ開けるとプライベートジェットのファーストクラス、別のドアを開けると高級企業の社長室、さらにその先には東南アジア風の警察署――。海南省(Hainan)陵水リー族自治県(Lingshui Li Autonomous County)の「海風国際映像基地」では、一日でさまざまな世界を行き来できる。
2024年8月の開業以来、東南アジア風の街並みを中心に27の大型セット、90以上の撮影シーン、10組の可動式セットを備え、約140本のショートドラマが撮影された。海南自由貿易港の政策や海底光ケーブルの整備を追い風に、この1万4000平方メートルの映像制作拠点は、東南アジアの制作チームを呼び込む新たな拠点となっている。
陵水は海南島南東部に位置し、ヤシの木が立ち並ぶ海岸や青い海、白い砂浜など、美しい熱帯の景観から「天然の撮影スタジオ」とも呼ばれる。同じ熱帯地域に属することから、東南アジアとの文化的な親和性も高い。
海風国際映像基地には40社以上の関連企業が入居し、脚本制作から撮影、俳優マネジメント、作品配信までを一貫して支援する体制を構築。翻訳や配信、著作権保護まで含めた仕組みを整え、中国制作のショートドラマを海外へ展開する取り組みも進めている。現在までに約30本の国際共同制作作品を受け入れている。
2025年12月に海南自由貿易港の全島封関運用が始まり、物流や人、資金、データの往来がさらに円滑になった。映像制作では、機材の輸入コストを抑える「ゼロ関税」政策に加え、海外スタッフや俳優の出入国・ビザ手続きも簡素化され、国際共同制作が進めやすくなっている。
また、陵水には香港やシンガポールと直結する海底光ケーブルが整備されており、高速・低遅延のデータ通信が可能だ。海南自由貿易港のデータ基盤を活用することで、陵水で制作した作品を東南アジア市場へ迅速に配信できる環境も整いつつある。
海南省も映像産業の育成を加速させている。今年6月には海南省映像サービスセンターが設立され、多言語による制作支援や国際著作権登録、海外スタッフ受け入れなどの体制整備を進めている。
さらに2025年8月には、海風国際映像基地の東南アジア諸国連合(ASEAN)クリエーティブセンターがマレーシア・クアラルンプールに開設され、現地のMCN企業との連携を開始した。海南国際伝播センターもショートドラマの海外展開に向けた協力協定を締結し、東南アジア市場への進出を後押ししている。
業界では、海南と東南アジアの地理的・文化的な近さを生かし、海南を地域の映像制作・機材サービス拠点として活用することで、制作コストの大幅な削減が期待できるとみている。陵水では映像基地やデジタル産業、教育機関との連携も進み、制作、撮影、国際配信、人材育成を一体化した映像産業エコシステムの構築が加速している。
「天然の撮影スタジオ」「自由貿易港」「データ通信拠点」という三つの強みを生かし、海南は東南アジアとの映像制作協力をさらに深め、中国コンテンツの海外展開に向けた新たな玄関口を目指している。(c)東方新報/AFPBB News