【1月14日 東方新報】厳寒の折、甘粛省(Gansu)武威市(Wuwei)民勤県双茨科鎮の干し麺工房では、地元産の良質な乾燥地向け強力粉を原料に、こねる、寝かせる、麺を巻く、竿に掛ける、引き伸ばす、天日干しするなど10数工程を経て、髪の毛ほど細く、中が空洞で透き通った手打ちの干し麺が職人の指先から生み出されている。標準化された工場内は活気に満ち、作業が慌ただしく進む。
手打ちの空洞干し麺は、民勤で古くから受け継がれてきた郷土の味で、「細くて中が空洞」「コシがあり煮崩れしにくい」「つるりとした喉ごし」といった独特の食感が好まれてきた。家庭の食卓に欠かせないだけでなく、「末永く続く」「何事もうまくいく」といった縁起の良さから、地元では祝祭の贈り物としても重宝されている。
いまではこの伝統技術が、雇用を生み出し、所得増につながる特色産業へと発展した。民勤県は「合作社+企業」モデルを通じて、干し麺生産の標準化とブランド化を進め、ECプラットフォームを活用して全国へ販路を広げている。特色ある農産物を軸に、農村振興を後押しする実践ルートを切り開いてきた。
産業を発展させるには、良質な原料の支えが欠かせない。バダインジャラン砂漠とトングリ砂漠に挟まれた民勤県では、限られた水資源に頼りながら世代を超えて開墾と耕作を続け、砂漠に囲まれた環境の中で、乾燥気候に適応した乾燥地農業の体系を徐々に築いてきた。
近年、民勤県は水資源の厳格な制約を遵守し、「水量に応じて生産を決める」という一線を守りながら、乾燥地農業の節水・増効を強力に推進している。規模化・集約化した小麦生産基地を整備し、北斗衛星による精密播種、浅埋め点滴灌漑と施肥の一体化などの技術を組み合わせて普及させてきた。さらに、「土壌水分を蓄える―守る―活用する」という全期間をカバーする節水調整ネットワークを構築し、農地生態の改善と同時に、水資源利用効率を大きく高めた。
「複数の技術を組み合わせて使うことで、『良い穀物を作り、より多く収穫する』ための基盤が整い、節水効果も非常に大きい」。民勤県農業技術普及センター主任の段振佼(Duan Zhenjiao)氏は、先日取材に対しこう語った。収量測定データによると、点滴灌漑を導入した小麦は1ムー(約666.7平方メートル)当たりの収量が安定して520キロを超え、節水率は45%以上に達しており、収量と資源利用効率の双方が向上した。
食料の安定供給を確保するため、民勤県は「豊穀プロジェクト」と「クリーンな土壌を守る行動」を同時に進めている。節水技術の普及と並行して、品種改良、標準化生産、グリーン防除などの重点工程に力を入れ、小麦生産を全工程機械化・標準化へ転換させてきた。さらに、多様な作付けモデルの模索にも取り組み、穀物の安定生産と増産を支える総合的な仕組みを整えている。
農業技術普及の「最後の1キロ」を解決するため、民勤県は「生産・教育・研究・普及」を一体化した仕組みを構築した。現地政府が主導し、中国農業大学(China Agricultural University)や甘粛省農業科学院などの研究機関、さらには主要企業と連携して、主要産地に恒久的な総合試験・実証ステーションを設置した。農家に向けて良質な品種と栽培技術を直接普及させ、農業科学技術の成果を現場に落とし込むスピードを加速させている。
民勤県農業農村局の副局長、陳芳(Chen Fang)氏は「今後は適地で節水技術の導入規模を着実に拡大し、農業技術サービスを強化しながら、水と肥料の管理を最適化し、増産と節水の余地を継続的に掘り起こしていく」と述べた。そのうえで、産業チェーンの延伸も積極的に進め、地元産の良質な小麦を原料とした干し麺や専用小麦粉などの高度加工品を育成し、「北方の麺食文化を南へ広げる」取り組みを進めることで付加価値を高める考えを示した。さらに、農村の一次・二次・三次産業の融合を促し、食料安全保障と農村振興の産業基盤をより強固にしていくとしている。
報道によると、2025年の民勤県の小麦作付面積は7.82万ムー(約5213万3333平方メートル)で、このうち浅埋め点滴灌漑(かんがい)と施肥一体化技術(水と肥料を点滴で同時に供給する技術)の導入面積は2.2万ムー(約1466万6667平方メートル)に達し、良質原料の供給力は着実に高まっている。田畑から工場へ、麦粒から麺へ――。砂漠のオアシスで、こうした産業チェーンがいま広がりつつあり、農村振興へ強い原動力を注ぎ込んでいる。(c)東方新報/AFPBB News