【三里河中国経済観察】国家発改委、内需拡大を強調

12月05日 16:00


海南省海口市の免税店で買い物をする消費者=2025年11月1日撮影・資料写真(c)CNS/駱雲飛


【12月5日 CNS】「雇用を安定させ収入を増やすことは、消費の前提であり基礎だ」

11月28日、国家発展改革委(国家発改委)の鄭栅潔(Zheng Shanjie)主任が「人民日報(People’s Daily)」に署名記事「内需拡大という戦略的基点を堅持する」を発表した。内容は非常に情報量が多い。

記事はまず、第18回党大会以降、中国が内需拡大で収めた顕著な成果を紹介し、効果的だった経験や取り組みをまとめている。そのうえで「十五五(第15次五か年計画)」期間に内需拡大が直面する新たな状況や要請を分析し、さらに十五五計画の提言で示された内需拡大の方針をどのように実行していくかを述べている。特に国民が関心を寄せる雇用と収入増については、住民所得の国民所得に占める割合を高め、労働報酬の初回分配に占める比重を引き上げるなど、力強い措置を講じるべきだと指摘し、住民所得の伸びと経済成長、労働報酬と労働生産性をそれぞれ同時に伸ばしていく必要性を強調している。

記事には中国経済の長期的発展に関わる重要な情報が詰まっており、見逃せない重要なシグナルを発している。成果紹介の部分では、新エネルギー車の販売台数が10年連続世界一、衣食住行など実物消費量が世界一、中国が世界最大の消費市場となった、という三つの「世界一」が示されている。これらは中国が巨大市場として世界的影響力を持つ存在へと成長したことを象徴している。また、2013年から2024年まで、中国経済は平均6.1%成長を維持し、内需の経済成長への平均寄与率は93.1%に達した。内需の重要性は言うまでもなく、現在では経済成長の主力であり、安定の軸になっている。

こうした成果の背後には、実績ある方法論が存在する。記事では、内需拡大政策を実践を通じて充実させてきたこと、内需拡大を弱点補強や民生向上と結びつけて進めてきたこと、供給面での新たな優位性づくりや新しい成長動力の育成と組み合わせて進めてきたこと、さらに改革深化や対外開放と連動させてきたこと――という四つの原則がまとめられている。

「二重(国家の重要戦略+安全能力向上)」や「二新(設備更新+消費財の買い替え促進)」の推進、育児補助制度の構築、無償の就学前教育の段階的拡大、休日制度の改善、年金水準の引き上げ、さらに川蔵鉄道、雅礁水電プロジェクト、三峡水運新通路、黄河古賢水利ハブといった大型事業の実施、市場参入ネガティブリストの項目が2018年の151項目から2025年には106項目に減少することなど、国民生活と経済発展を大きく変えてきた施策が列挙されている。また、中国のインテリジェント算力は約78万PFLOPSに達し、世界2位で日本を大きく上回っていることにも触れている。

十五五期間の内需拡大が直面する状況について、記事は「機会と挑戦の双方に新たな変化があるが、全体としては機会が挑戦を上回る」と総合判断している。そのうえで、内需拡大に向けた四つの重点方針が示されている。住民消費の大幅な喚起、有効投資の積極的拡大、重大象徴プロジェクトの実施、そして全国統一大市場の深化推進だ。これらの方針はいずれも狙いが明確で、実務的かつ力強く、注目すべき内容となっている。

具体的には、消費者に直接恩恵が届く普惠政策を強化し、政府資金の民生保障への投入を増やして消費の押し上げを図ること。社会保障制度を改善し、民生の向上を通じて消費拡大を促すこと。

市場参入や要素取得、公平執行、権益保護などの面で民間投資を妨げる障害を取り除くこと。

都市更新、基幹交通ルート、新型エネルギー体系、水利プロジェクト、国家レベルの科学技術基盤施設などの重要事業を進め、インフラ投資が「適度に前倒ししつつ過度に先行しない」範囲で拡大を続けられるようにすること。

消費の高度化や高齢化、出生促進の需要に応じ、介護や託児、健康、文化・観光関連インフラなどで重点プロジェクトを実施すること。

義務教育年限の延長を検討し、常住地の戸籍登録によって基本公共サービスが受けられる制度の導入を進めること。

企業の無秩序な低価格競争を法に基づき是正し、市場監督執行を統一し、独禁法や不正競争防止法の執行を強化し、質と価格が適正に対応する健全な競争秩序をつくることが挙げられている。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News