【8月10日 People’s Daily】高さ1.85メートル。背筋をまっすぐ伸ばした姿で、全身に43個の円形関節を備える等身大の汎用人型ロボット「青龍」は、敏捷に障害物を避け、安定した足取りで坂を上り下りし、衝撃や外部からの干渉にも強い。この「青龍」が、上海市張江にある「国家地方共同建設人型ロボットイノベーションセンター」で注目を集めている。上海では現在、多くの汎用人型ロボットの試作機が発表されている。上海は人工知能(AI)のコア要素の集積を加速し、人工知能発展の拠点構築に力を入れている。
2022年10月、上海市では人工知能に関する地方条例「上海市人工知能産業発展促進条例」が施行され、その後、計算資源の統一的な運用、新型インフラの整備、大規模AIモデルの革新発展に関する各種の政策が相次いで打ち出された。重点施策として、モデル革新サポート計画、スマート計算力加速計画、実証アプリケーション推進計画などが進められており、大規模モデルのテストと検証、協同イノベーションセンター、コーパスデータ連盟、スマート計算リソース統合プラットフォーム、ソフト・ハード適合性評価センター、オープンソース大規模モデルのコミュニティおよび協働プラットフォームの構築が進められている。
上海市は、市と区が連携し、各区の強みを活かす戦略を推進している。浦東新区は、知能計算チップや人型ロボットなどの先端ハードウェア技術に注力する企業の育成を加速させており、徐匯区は大規模言語モデルをはじめとするアルゴリズム分野の革新企業の集積型イノベーションを推進している。
市全体では、松江区や臨港地区などを中心に、大規模なインテリジェント・コンピューティングクラスターを構築し、大規模モデルの訓練に必要な計算リソースを提供している。
現在、上海市は浦東の「張江AIアイランド」、徐匯の「西岸AIタワー」、臨港の「滴水湖AIイノベーションハブ」、閔行区の「馬橋AIイノベーション実証区」を中核とする「4+X」型AI産業クラスター体制を形成している。
生成AIの専門的なインキュベーション(孵化)と加速のプラットフォームとして「上海模速空間創新生態社区」は23年9月の開設以来、これを中心とした上海西岸地域に255社の大規模モデル企業、34件の登録済み大規模モデル、100を超える投資機関が集積している。ここには「上下の階が上下流」という言葉があるが、まさにその表現がふさわしい場所となっている。
ここに拠点を置く「上海無問芯穹智能科技(Infinigence)」は、人工知能向け基盤インフラの研究開発に特化し、国産の大規模言語モデル(LLM)アルゴリズムを多くの種類の国産チップ上で高効率に協調動作させる実行環境を構築した。これにより、国内の算力産業におけるサプライチェーンの強靭性と国際競争力が一層強化された。
同社の共同創業者兼主席執行官の夏立雪(Xia Lixue)氏は「私たちは国産ハードウェアと国産アルゴリズムの間でのプラス方向の循環を目指している」と話す。
上海市は、現在に焦点を当て未来を見据え、開放的で安全かつ活気あるイノベーションエコシステムの構築を加速している。
ソフトウェアとハードウェアの適合性評価および検証体系の構築を進め「上海人工知能研究院」によるソフト・ハード統合ソリューションとの深層的連携体制の確立を支援し、人型ロボット製造業イノベーションセンターを設立し、産業バリューチェーンの統合を加速させている。
「人型ロボット産業基地」を形成し、企業のアルゴリズムのイノベーションコストを低減させ、パーツの標準化を進めている。
また、多層的な人材体系を構築し「AI戦略コンサルティング専門家委員会」を設立し、AI産業の発展に人材面とインテリジェンスの面からの支援も提供している。
昨年、上海市のAI産業の規模は4000億元(約8兆2800億円)を突破し、前年比7%を超える成長率を達成した。今年第1四半期には、AI産業の生産額が前年同期比13.2%の伸びを示し、新たな成長エンジンとしての推進力が着実に強まっている。(c)PeopleʼsDaily/AFPBBNews