【7月17日 AFP】パレスチナ自治区ガザ地区南部の支援センターで16日、少なくとも20人が死亡する群衆事故が発生した。物資の配給を行う「ガザ人道財団(GHF)」が、群衆の中にいた「イスラム組織ハマスの工作員」を非難する一方、同地区の民間防衛当局はイスラエル側の銃撃がパニックを引き起こした原因だと述べた。
数週間に渡って続く混乱の状況や、パレスチナ人が食糧配給を待つ中でほぼ毎日殺害されているとの報告がされる中、米国とイスラエルの後押しを受けるGHFが支援拠点の一つで死者が出たのを認めたのは、これが初めてとなっている。
目撃者の男性は、援助を求める群衆が閃光(せんこう)弾(スタングレネード)や催涙ガスで襲撃され、混乱が起きたと話した。
AFPの映像には、南部ハンユニス市内の病院に運ばれた遺体が映し出されており、一部は床、あるいはすでに血まみれのベッドの上に置かれていた。
GHFは、「混乱と危険な殺到の中で踏みつけられた」19人、「刺された」1人が亡くなったと発表。GHFの広報担当官は事故について、「民間人の群衆に潜り込んで意図的に混乱を引き起こした、ハマスの武装工作員によって引き起こされた」と述べた。この広報担当官は、催涙ガスの使用や群衆への発砲を否定している。
一方で民間防衛当局は、この事件で少なくとも20人が死亡したとし、イスラエル軍の発砲が原因であると非難した。
民間防衛当局のマフムード・バサル報道官はAFPに対し、数千人が現場に集まっていた際に、「イスラエル軍が発砲し、(催涙)ガスを使用し、支援センターの警備員が空腹の群衆の前で正門を閉鎖して、パニックと群衆の殺到を引き起こした」と述べた。
国連は15日、5月下旬以降に食料を得ようとしてガザで875人が殺害され、そのうち674人がGHFの拠点周辺で殺害されたと発表している。(c)AFP