世界で「売れる」中国のスポーツ用品

07月13日 15:40


江蘇省宿遷市泗洪県で、欧米向けサーフボードの生産現場(撮影日不明、資料写真)。(c)PeopleʼsDaily/許昌亮


【7月13日 Peopleʼs Daily】黒竜江省(Heilongjiang)ハルビン市(Harbin)で開催された冬季アジア大会の開会式の後、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ(Thomas Bach)会長はそのまま福建省(Fujian)に赴き、中国のスポーツ用品メーメーを訪問した。このVIPの訪問は、「中国製造(メイドインチャイナ)」のスポーツ用品の世界的な認知度が高まり、世界のスポーツ分野でその影響力を強めているという事実を、人びとに印象付ける出来事だった。

「中国スポーツ用品工業連合会」が2024年の国内スポーツ用品の対外貿易データを発表した。輸出額は283億9600万米ドル(約4兆1035億円)で、前年比6.77%増加となった。中国のスポーツ用品メーカーの強靭な回復力と有望な前途を示す数字であった。

 中国のスポーツ用品メーカーは、充実した製造能力を最大限に発揮し、産業チェーンを形成し、技術革新とブランド化を図り、積極的に海外市場を拡大し、その競争力と市場影響力は日増しに高まっている。

 山東省(Shandong)青島市(Qingdao)即墨区(Jimo)の中国のフィットネスマシンブランド「英派斯健身器材(Impulse Health Tech)」には、海外からの注文が殺到している。ランニングマシン、エリプティカル、ダイナミックサイクルなど、同社の多くの製品は欧米市場への参入に成功している。設計開発力と先進的な生産モードで、同社の製品はカスタム化された需要を正確に満たし、海外の顧客はますます増加している。

「ランニングマシン1台に、小さなネジから大きなランニングベルトまで、関連パーツは100種類以上あり、その全てが市場テストに耐えなければならない。我々は200社以上のサプライヤーと協力し、優れた品質の製品を作り上げている」、同社の劉洪涛(Liu Hongtao)総裁はこう説明した。

 統計データによると、24年、中国のフィットネス器具の輸出額は50億4700万米ドル(約7293億4197万円)に達し、前年比22.13%増、2年連続の成長を達成した。

「中国スポーツ用品工業連合会」の焦妮(Jiao Ni)副秘書長は「グローバルなサプライチェーンの再構築と過剰在庫の調整を経て、国際スポーツ用品市場は全体的に回復の兆しが見え始めている」と述べた。

 特にフィットネス用品の分野では、中国のメーカーは、完備された産業チェーンの規模、迅速な出荷速度、強力な配送能力、豊富な製品ラインの優位性を十分に発揮しているという。

「一部の国々は生産能力を有しているものの、コストの制御が難しい。それに比べ中国企業は、原材料の調達から完成品の製造に至るまで、サプライチェーンの上流から下流にかけての工程を高度に内製化しており、安定した生産能力を確保するだけでなく、価格面でも高い競争力を持っている」、焦氏はこのように分析している。

 バトミントン用品を主力製品とする「安徽三才体育用品」の昨年の年間生産額は1億5000万元(約30億2550万円)に達し、そのうち輸出額は9000万元(約18億1530万円)を占めた。前年比で約50%の大幅な増加となった。同社の戴見霖(Dai Jianlin)董事長はこの成績を見て、生産能力のさらなる拡大に自信を深めている。

 また、その自信は販売成績だけでなく、製品カテゴリーの革新と技術イノベーションにも裏付けられている。自動化された生産ラインにより、1個のバドミントンシャトルコックを平均90秒で製造できるようになった。さらに、「三段式」と「コイルレス」という2つの構造上の革新により、羽の利用効率が向上しただけでなく、製造コストは従来の半分に抑えられ、打球耐久性も2〜3倍に高まった。

 戴氏は「我々のバドミントン用具は70以上の国と地域に輸出されている。多くの外国の顧客が我々の製品を見ると直ぐに、直接連絡を入れてくる。現在注文は4〜5か月後の分まで埋まっている」と話す。

 技術革新と研究開発能力の向上に伴い、多くの中国企業が、単純なOEM生産から「自社ブランド」の構築へとシフトしている。

 統計データによると、中国の輸出貿易構造における加工貿易の比率は、前世紀末には約55%だったものが、現在では20%以下に低下し、一般貿易の比率が70%近くまで上昇している。

 一般貿易の比率の上昇と加工貿易の比率の低下、この一進一退の構造変化が、中国のスポーツ用品製造業の構造転換と高度化の成果をも物語っている。

 福建省(Fujian)のスポーツ用品メーカーは、最初は靴や衣類のOEMから始まったが、近年では海外市場において非常に目立った活躍を見せている。

 パリオリンピック開催の前夜、アモイ税関では、ユニフォームやスポーツシューズなど国際オリンピック委員会向けの貨物の輸出通関処理件数が1日で23ロット、1万9000件にも上ったという。

 輸出の増加からブランドマーケティングへ、さらに国際大会との連携や海外著名人との広告契約に至るまで、「価格の優位性」は次第に「価値の優位性」へと変わりつつあり、中国のスポーツ用品は国際市場でますます大きな影響力を持つようになっている。(c)PeopleʼsDaily/AFPBBNews