【8月13日 東方新報】「中国科学院空天信息創新研究院」の画期的な研究により、世界の植生(植物の集合体の呼称)の火災による二酸化炭素の排出量が明らかになった。
学術誌『Earth System Science Data (ESSD)』に掲載されたこの研究報告によると、2020年から22年の間に植生火災によって排出された二酸化炭素の量は、年間平均259億トンにのぼる。
草地火災が主な原因として浮上し、その排出量は森林火災や農作物残渣の焼却によるものを上回った。
当研究の執筆責任者・石玉勝(Shi Yusheng)氏は「バイオマス燃焼による炭素排出を正確に定量化することは、陸地の生態系のカーボン循環を理解する上で不可欠であり、地球規模あるいは地域的規模で温室効果ガスを一定レベルに抑えようとする際のカーボン累積排出量である『カーボン・バジェット』を明らかにするための前提条件だ」と述べている。
石氏は「バイオマス燃焼からの炭素排出に関する正確なデータは、大気中を移動する物質(例えば、大気汚染物質、放射性物質、火山灰など)の濃度や分布を予測するための『大気輸送モデル』の精度を向上させ、陸地の生態系のカーボン循環と大気中のカーボン濃度の研究に大きな影響を与えるだろう」と説明している。
この研究では、自然火災による排出に焦点を当て、化石燃料、自動車、工業的な排出源からの排出は含まれていない。
石氏によれば、植生火災によるカーボン排出のモニタリングは、火災がランダムに発生し、広範囲に拡散するので非常に難しいことだ。
植生火災のデータは、中国気象局が打ち上げた複数の気象衛星「風雲(Fengyun)シリーズを使って収集された。この衛星は陸上の植生火災を識別でき、工業的な熱源を除外して、自然火災のデータを正確に得ることができるという。
自然火災が発火して延焼するには、植生の含水率が低いこと、極度に乾燥していること、特定の降雨条件が必要だ。これらが自然火災を特定するのに有効な要素だという。
石氏は「火災発生地点の監視と識別における気象衛星『風雲』の能力がこの研究によってクローズアップされ、今後の地球規模の気候変動のガバナンスと持続可能な対策への貢献が期待されている。今回の研究結果とデータベースは、データ共有化のために一般公開され、将来のさらなるグローバルな研究の基盤となっている」と説明した。(c)東方新報/AFPBB News