清華大学 中国戦国時代の竹簡の最新研究成果を発表

12月11日 22:17


「清華大学蔵戦国竹簡(拾参)」下巻(2023年12月11日提供)。(c)CGTN Japanese


【12月11日 CGTN Japanese】中国の戦国時代(紀元前5世紀~同221年)の竹簡の整理報告書の「清華大学蔵戦国竹簡(拾参)」が10日に発表されました。この報告書には、「大夫食礼」、「大夫食礼記」、「五音図」、「楽風」、「畏天用身」の5編の文献が収められています。いずれもこれまでになかった貴重な文献であり、中国の春秋戦国時代の礼制や音楽、思想の研究に関する新たな資料とされています。今回の出版で、整理報告書は計13冊が出版されたことになります。

 今回の報告書で、最も注目されているのが「大夫食礼」と「大夫食礼記」という礼法に関する2編です。この2編は1巻にまとめられており、それぞれ51本と14本の竹簡で成り立っています。「大夫食礼」は領地を持つ貴族である大夫の食礼についての主人と客及び付き添い人の作法を記載しています。「大夫食礼記」は執事が食事中に行う具体的な作法を記述しています。これらは散逸した春秋戦国時代の礼書が戦国時代の竹簡として初めて発見されたものであり、春秋戦国時代の礼制及び「儀礼」の研究にとって重要な参考価値があるとされます。

 2編の音楽関連の文献にも、非常に重要な内容が記載されています。「五音図」の中央には一つの五芒星が描かれています。中国の伝統音楽では基本的に1オクターブ内に5つの音を使いますが、五芒星の上の角は西洋音楽の「ド」に相当する「宮」の音を表し、そこから時計回りにそれぞれの角が商(レ)、角(ミ)、徴(ソ)、羽(ラ)を示しています。五芒星は「宮-徴」「徴-商」「商-羽」「羽-角」「角-宮」という5本の線で結ばれ、倍音関係で5つの音を定める法則を示しています。「楽風」は2つの部分に分かれています。前半には音の高さを定める音律に関係する名称が記載されていますが、後半の内容についてはまだ不明です。この2編の音楽文献は中国の早い時期の音楽理論や春秋戦国期の音楽史の研究にとって重要な資料です。

「畏天用身」は思想文献で、17本の竹簡からなっています。天と人は関係すると主張する説や、人が主観的能動性を発揮することについての論述を展開しており、春秋戦国時代の思想の研究に提供された新たな文献です。

 清華簡は清華大学が2008年に入手した竹簡で、一部の判明不能なものや断片を含めて約2300枚があり、炭素14の測定により、戦国時代の中期から晩期にかけてのものであることが確認されています。専門家は、「これらの竹簡は秦代以前にすでに地下に埋められていたため、『焚書坑儒』の影響を受けず、春秋戦国時代の古籍の本来の姿を最大限に示している」と評価しています。(c)CGTN Japanese/AFPBB News