中国の科学者、恐竜卵の研究から絶滅の新たなメカニズムを解明

09月27日 12:19


白亜紀末期の山陽盆地に生息していた3種類の恐竜(オビラプトル、ハドロサウルス、ティラノサウルス)。(c)Xinhua News


【新華社北京9月23日】中国科学院古脊椎動物・古人類研究所は20日、中国の科学者による恐竜の卵に関する最新研究が、恐竜の進化の多様性から出発して恐竜絶滅の新たなメカニズムを提示したと明らかにした。研究成果はこのほど、学術誌「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」のフロントカバーに選ばれた。

 6600万年前の恐竜絶滅の謎は常に世間の関心を集めており、学界では有名な小惑星衝突説など、さまざまな仮説が提唱されてきた。

 恐竜の卵は、恐竜の繁殖の習性を反映するだけでなく、地層中に埋蔵された卵の密集度の規則性から、恐竜が生息した時代の環境情報を取得できる。同研究所や中国科学院地質・地球物理研究所、中国地質大学(武漢)などで構成された研究チームは、中国で恐竜の卵が豊富に埋蔵されている場所の一つ、陝西省(Shaanxi)の山陽盆地で古生物学と層序学の体系的な研究を行い、恐竜絶滅の謎を解く新たな根拠を得た。

 研究チームは同盆地に埋蔵されていた恐竜の卵と卵殻の標本を千点以上採集し、さらに少数のティラノサウルスと竜脚類恐竜の骨格を発見した。これらの恐竜の卵と骨格の分析により、絶滅までの200万年間、山陽盆地の恐竜の多様性が一貫して低い状態だったことが明らかになった。さらに、中国の他地域で発見された恐竜の化石と合わせた研究により、約7200万年前に中国の恐竜の多様性に明確な低下傾向が現れたと判断した。これは、北米西部の恐竜化石の分布特性に類似しているという。

 研究成果は、恐竜の絶滅過程やメカニズムを理解する新たな根拠と視点を提供した。恐竜は卵生であり、卵のふ化成功率が個体群の繁栄に直結する。卵のふ化には、適切な温度と湿度、二酸化炭素濃度が必要であり、研究では、白亜紀後期に自然生態系と恐竜が協調して進化することで、恐竜の多様性が継続的に衰退し、集団としての恐竜の環境適応能力を低下させ、火山噴火や小惑星衝突などの巨大災害による環境の激変を生き延びて回復することを不可能にし、最終的に絶滅に向かったとの見方を提示した。