中国各地で春節の花火がにぎわう 違法行為や事故も相次ぐ

02月25日 18:00


春節期間中営業される北京の爆竹販売店(2021年2月6日撮影、資料写真)。(c)CNS/韓海丹


【2月25日 東方新報】中国の春節(旧正月、Lunar New Year)につきものといえば花火。日ごろは規制が多い中国の街角で花火が飛び、爆竹が鳴り響く。11日の大みそかから今年も各地で花火が行われたが、例年のごとく、禁止区域で花火をして取り締まりを受けた人も多い。

 中国で花火の主役は爆竹だ。「音を出して邪気を追い払う」意味があるので、とにかく爆発音が大きい。長さ数メートルもある1000連発の束は一度火を付けると数分間、爆発音が続く。音を鳴らすのが目的だから朝も昼も爆竹を鳴らす。春節期間中に街を歩くと耳鳴りが続くほどだ。

 春節が近くなると花火を売る露店が現れ、日本では専門業者しか扱えないような大型の打ち上げ花火セットも簡単に購入できる。1発の口径が3センチほどある100連発花火は、ロケットランチャーのよう。ビルの真横や路上でお構いなしに打ち上げられ、団地の窓からバズーカ砲のように放つ人もいる。火花がガラス窓で跳ね返り、煙で街がかすむ光景はまるで市街戦のようだ。

 ただ、近年は大気汚染が深刻になったため各地で行政の規制が厳しくなり、住民も自粛する傾向が強くなった。事故や火事も多発しており、花火の禁止区域を増やし、打ち上げ花火の種類を制限する地域が多くなった。

 安徽省(Anhui)蕪湖市(Wuhu)では、禁止区域で子どもと花火をした女性が警察に制止され、500元(約8139円)の罰金を受けた。海南省(Hainan)では海口市(Haikou)で花火の違法販売などで複数の業者が摘発され、万寧市(Wanning)では禁止区域で花火をした14人が行政処分を受けた。重慶市(Chongqing)では花火が浄化槽のメタンガスに引火して爆発が起き、6歳の女の子が死亡する事故が起きた。

 けが人や火事も各地で発生している。最近は、火花が飛び出してすぐ低温になる「冷光花火」が人気となっている。発射口から50センチ離れた位置では火花の熱さが40度ほどに下がるが、「発射した瞬間の火花は700~800度の高温なので、やけどや火事が起きるリスクは変わらない」と注意が呼びかけられている。

 中国の都市部では、花火が盛大になると規制が厳しくなり、住民の不満が高まると緩和される、というように規制も相対的な面がある。取り締まりもすべてのエリアは不可能なので、「見つかったら運が悪かっただけ」という感覚で禁止区域でも花火をする人も多い。「昔は、肉を食べ、おもちゃを買ったのは春節ぐらい。今は花火でもやらないと春節気分にならない」と話す市民もいる。来年以降の春節も中国各地で花火が鳴り響くことは変わらなさそうだ。(c)東方新報/AFPBB News