【8月30日 AFP】リバプール(Liverpool FC)に喫した0-4という屈辱的な大敗のショックから立ち直る間もなく、アーセナル(Arsenal)のアーセン・ベンゲル(Arsene Wenger)監督は、開幕早々につまずいたシーズンの雲行きがさらに怪しくなりかねない、移籍市場の引き抜きの魔の手にさらされている。
現地時間31日午後10時の期限が迫る中、アーセナルではアレクシス・サンチェス(Alexis Sanchez)やアレックス・オックスレイド・チェンバレン(Alex Oxlade-Chamberlain)といった主力が沈みかけの船からの脱出を図ろうとしているという見出しが紙面を飾り、ベンゲル監督は半ば自業自得ともいえる泥沼にはまり込んでいる。
今季限りで契約満了となるサンチェスは、すでに週給30万ポンド(約4250万円)の契約延長オファーを固辞。リバプール戦ではチームが好き放題にやられている中、ベンチで薄笑いを浮かべている場面をカメラに捉えられて批判を浴びた。さらに去就をめぐる交渉が熱を帯びているため、チリ代表の練習から離脱させてほしいと訴えているとの報道もある。
チリ代表のサンチェスについては、マンチェスター・シティ(Manchester City)がしつこく引き抜きを狙っている。シティはサンチェス獲得のためにイングランド代表ラヒーム・スターリング(Raheem Sterling)を差し出し、さらに移籍金もつけ加えることでベンゲル監督の心変わりを促そうとしているが、ベンゲル監督はさらにセルヒオ・アグエロ(Sergio Aguero)の譲渡も要求していると報じられている。
ジョゼップ・グアルディオラ(Josep Guardiola)監督のアグエロへの信頼度が低下している気配があるとはいえ、シティが放出を認めるとは考えづらい。一方、前節ボーンマス(Bournemouth AFC)戦で決勝ゴールを決めた後に退場処分となったスターリングは、チームに攻撃的な選手が豊富にそろっていることを考えれば、余剰戦力とみなされてもおかしくない。
シティとしては移籍金のみでサンチェスを獲得できるのが理想だが、金銭とスターリングの形で妥協するのではとの見方が強まっており、担当者がチリへ飛んで本人と個人条件の詳細を詰め、メディカルチェックを行って期限に間に合わせるとの話も出ている。
ベンゲル監督の悩みの種はサンチェスだけではない。――イングランド代表のチェンバレンも、週給18万ポンド(約2600万円)の新契約に署名するよう説得する指揮官の言葉に耳を貸していない。こちらも2018年6月で契約が切れるチェンバレンは、移籍金3500万ポンド(約50億円)でのチェルシー(Chelsea)加入が目前だとされている。
左SBのキーラン・ギブス(Kieran Gibbs)は、ウェスト・ブロムウィッチ・アルビオン(West Bromwich Albion)が獲得を目指しており、他にもシュコドラン・ムスタフィ(Shkodran Mustafi)、ジャック・ウィルシャー(Jack Wilshere)、マテュー・ドゥビュシー(Mathieu Debuchy)にも移籍の可能性が浮上している。
失意のアーセナル1年目を過ごしたルーカス・ペレス(Lucas Perez)にも退団のうわさがあり、本人がスペイン帰国を希望する中で、レバンテ(Levante)などが関心を示しているという。