【6月2日 AFP】ゴルフ米国男子ツアー(US PGA Tour)は1日、米大統領選の共和党候補指名を確実にしたドナルド・トランプ(Donald Trump)氏がマイアミ(Miami)に所有するコース、トランプ・ナショナル・ドラール(Trump National Doral)が、世界ゴルフ選手権(World Golf Championships)のキャデラック選手権(Cadillac Championship)の会場から外れると発表した。
このため来年からは、キャデラック選手権に替わってメキシコ市(Mexico City)で別の名前の大会が開催される。
この決定の理由について、PGAツアーのティム・フィンチェム(Tim Finchem)コミッショナーは、スポンサー集めの難航であり、政治とは無関係であると強調したが、トランプ氏はツアー側の判断に怒りをあらわにしている。
コミッショナーは、トランプ氏の強烈すぎるイメージが災いして、スポンサー集めに「難しさ」があったことを認め、次のように話した。
「ドナルド・トランプは一つのブランド、それも巨大なブランドです。そして、大会名に名前が冠されるほどの資金援助をお願いするということは、その主催企業がトランプ氏とブランドを共有することを意味します。これは難しい話し合いです」
「政治的には、われわれは中立です。PGAツアーは、どの候補の政策とも関わりはありません」
コミッショナーによれば、先月31日にこの決定を伝えたところ、トランプ氏は「ツアーが去ることにすっかり落胆していた」という。
そのトランプ氏はこの日声明を発表し、安価な労働力を求めてメキシコへ生産拠点を移す米国企業を引き合いに出し、ツアーをなじった。
「マイアミ、米国、そしてゴルフという競技にとって悲しい日となりました。PGAツアーが、55年間マイアミで開催してきた世界ゴルフ選手権の大会を、メキシコへ移すというのです」
「PGAツアーの行動は、ナビスコ(Nabisco)やキヤリア(Carrier)といった無数の米国企業と何も変わりません。ツアーは米国民の何千という職、地域社会と慈善団体の何百万ドルという収入、そして観戦を年に一度の恒例にしている無数のファンの楽しみよりも、利益を優先しました」
「今回の決断もまた、私が合衆国大統領に立候補している理由のまさしく表象にほかなりません」
過激な発言で批判を集めるトランプ氏は、ここまでの指名獲得争いでも、メキシコからの移民を「犯罪者やレイプ魔」と評したり、イスラム教徒の入国禁止をぶち上げたりしている。
いずれにせよ、キャデラック(Cadillac)が2016年で満了となる冠スポンサー契約を更新しなかったため、PGAツアーはドラールのTPCブルー・モンスター(TPC Blue Monster)から大会を引き揚げることを決めた。
新たな開催地はメキシコ市で決まっており、すでに同市を拠点に小売り、テレビ、電気通信事業などを展開する財閥、グルーポ・サリナス(Grupo Salinas)との間に7年契約が結ばれている。(c)AFP