新種タランチュラ、米で14種特定 有名歌手にちなむ命名も

02月05日 16:42


米カリフォルニア州フォルサムで発見されたタランチュラの新種「アフォノペルマ・ジョニーキャシ」(2016年2月4日提供)。(c)AFP/CHRIS HAMILTON


【2月5日 AFP】米カリフォルニア(California)州フォルサム(Folsom)での調査で、体色の黒いタランチュラの新種を発見したとの研究結果が発表された。研究チームはこのクモに楽曲「フォルサム・プリズン・ブルース(Folsom Prison Blues)」を歌った米国の伝説的ミュージシャン、故ジョニー・キャッシュ(Johnny Cash)さんにちなんだ名前を付けた。

 学名「アフォノペルマ・ジョニーキャシ(Aphonopelma johnnycashi)」と命名されたこの8本足の生物は、体全体が黒色をしている。特徴あるバリトンボイスでギターをかき鳴らしながら歌うキャッシュさんも、黒ずくめの服で登場することが多かった。彼の楽曲の中には、「ザ・マン・イン・ブラック(The Man in Black)」や「フォルサム・プリズン・ブルース」といったタイトルもあった。

 国際動物学誌ズーキーズ(ZooKeys)に掲載された研究論文では、このタランチュラを含む、米南西部で発見された新種のクモ14種の同定結果が報告されている。

 論文の主執筆者であるクリス・ハミルトン(Chris Hamilton)氏は、「私は、ジョニー・キャッシュの大ファンだ」と話す。しかしAFPの取材に対しては、「彼にちなんだ名前を命名できる何かのために今回の調査に臨んだわけではない」と話している。

 事実、ハミルトン氏と、米オーバーン大学(Auburn University)および米ミルサップス大学(Millsaps College)の研究者らが行った調査の目的は、ミシシッピ川(Mississippi River)西側の米南部全域で目撃されるタランチュラを詳細に調べることだった。10年に及ぶ調査で、研究チームは3000体近くの標本を複数の州で収集したという。

 調査の結果、ジョニーキャシは広範囲に分布していたことが分かっただけでなく、これまで「アフォノペルマ・イオジウス(A. iodius)」として知られる別種のクモとみなされていたことも判明した。

 ハミルトン氏によると「見かけは極めてよく似ている」という。「分布域全体から多数の標本を収集し、標本の形態、DNA、生態学的変数などの詳細な調査をしてみると、これらの標本は固有種であり、別の種としての分類を必要とするのは確かだと分かった」

 雄が濃い黒色の体色をしていることと、生息地がカリフォルニア州フォルサムであることを考え合わせた際に「この名前がパッと頭に浮かんだ。これはまさにぴったりの名前だ」と思ったとハミルトン氏は述べた。フォルサムには、キャッシュさんが1968年に受刑者たちのために歌を披露した州立刑務所がある。