「世界一長いラボ実験」の教授が死去、1927年に実験開始
08月26日 21:12
実験室で学生らとともに「ピッチドロップ実験(Pitch Drop Experiment)」の装置を囲むジョン・メインストーン(John Mainstone)教授(撮影日不明、2013年8月26日提供)。(c)AFP/University of Queensland / Christian Aas
【8月26日 AFP】「世界で最も長いラボ実験」を行っていたオーストラリアの科学者、ジョン・メインストーン(John Mainstone)教授が前週死亡したと、所属していた豪クイーンズランド大学(University of Queensland)が26日、発表した。78歳。脳卒中だという。 メインストーン教授はクイーンズランド大の物理学部の前学部長で、1927年にトーマス・パーネル(Thomas Parnell)教授が始めた「ピッチドロップ実験(Pitch Drop Experiment)」の監督責任者を52年間にわたって務めていた。この実験は、ピッチという粘弾性のある樹脂の流動性と粘度を実証するのが目的で、常温では硬く、強い衝撃を与えると砕けるピッチが、長い時間をかけてガラス漏斗の中でゆっくり流れる様子を観察するというものだ。 「ピッチドロップ実験」では、ピッチが安定するまでに3年かかり、それから漏斗の下部を切ってピッチが流れ落ちることができるようにした。以降83年が過ぎたが、大学側によるとこれまでに落下したピッチは8滴だけで、落ちる瞬間を目撃した者は誰もいないという。 今年初めにメインストーン教授はオーストラリア放送協会(Australian Broadcasting Corporation、ABC)に対し、年内に次の1滴が落ちるだろうと話していた。 現在「ピッチドロップ実験」は、9滴目のピッチが落ちる瞬間をとらえるため、3台のウェブカメラを使って常時監視が続けられている。(c)AFP