<senken h 120>アトリエのチカラ/手仕事と感性がつむぐ日本のラグジュアリー/スタディ

02月29日 10:07


革1枚1枚の特徴によって素材を木型に合わせる「手吊り」。(c)senken h


【2月29日senken h】東京・練馬の住宅地にそびえる建築家・黒川紀章が設計したファクトリー。手仕事の靴作りで日本有数と言われるレディスシューズメーカー、スタディ(Study)とその工場だ。世界の靴の9割が完全機械製という時代に2000年代に始まりながら「手吊り」の靴作りを貫く稀有な新進メーカー。オリジナルブランドのみを作り、製造から販売まで自らの手で行う誠意と靴への愛。本物が問われる今こそ見直したいファッションマインドがここにある。    元々は靴のファブレス(企画)メーカーだったスタディ。廉価なアジアへと靴業界の生産がシフトする中、手仕事の良品を作ろうと思っても国内工場がなくなっていた。「自分たちでやるしかない」。険しい国産自社製造に挑戦したのが06年、工場誕生の時だ。    「高くても選ばれなければ日本製の意味がない」。ショップに近い都心にあるのも、おしゃれな建築も、工場内にジャズが流れ、平均年齢30歳の若いスタッフが集まっているのもそのため。「製造業ではなく、ファッションセンスを売るクリエーティブ産業」をめざした。    普通、靴の製法は革を木型と呼ばれる鋳(い)型に当て機械でプレス成形し、1日数百足という生産が可能だ。しかしスタディは、革1枚1枚の特徴によって素材を木型に合わせる手吊りにこだわる。1日に数十足しか作れないが、保型性が程よくありながら、履く人の足の形に合わせて自然に革が伸びて長く愛用できる1足になる。快適に履けるように縫い目を包み込んでいるため、靴の履き口にはステッチがない。細部の細部まで生産効率よりも良い靴作りへの思いを優先する。    作るのはオリジナルの「ポー」「ヒュッテ」「ローズ・ローズ」「モン・ルル」のみ。下請け生産は一切しない。デザイナーは工場で職人とともに良い靴を考え、職人もその場でデザイナーに応える。デザイン部門併設の都心工場だからこそ、自社生産にだけ集中できるからこその光景だ。欧米のラグジュアリーブランドのように、新宿からわずか30分。トレンド消費地のすぐそばにも、クリエーティブワークと職人技が融合した日本のファッション産業がある。(c)senken h 【関連情報】 ◆特集:senken h 120 ◆<スタディ 公式サイト><外部サイト>