ヒュー・グラントさん、英盗聴事件の公聴会でメディアを糾弾

11月22日 12:52


英ロンドン(London)で、英大衆紙「ニューズ・オブ・ザ・ワールド(News of the World)」の盗聴事件をきっかけに設置された英メディアの倫理に関する独立調査委員会の公聴会に出席する英俳優ヒュー・グラント(Hugh Grant)さん(2011年11月21日撮影)。(c)AFP/CARL COURT


【11月22日 AFP】英俳優ヒュー・グラント(Hugh Grant)さん(51)が21日、廃刊となった英大衆紙「ニューズ・オブ・ザ・ワールド(News of the World)」の盗聴事件をきっかけに設置された英メディアの倫理に関する独立調査委員会の公聴会に出席し、自身のメディア被害について証言した。  映画「ノッティングヒルの恋人(Notting Hill)」などで知られるグラントさんは、2007年に当時恋人だったジャマイマ・カーン(Jemima Khan)さんとの関係を英大衆紙メール・オン・サンデー(Mail on Sunday)に掲載されたが、この内容は明らかに電話での会話を盗聴して得たものだったと、メール・オン・サンデー紙を非難した。  グラントさんは、2007年にメール・オン・サンデー紙に、「甘い声の(女性)映画会社役員」と電話で深夜の会話を楽しんでいたと報じられたが、これは事実無根だと主張。「電話を盗聴してないというのなら、一体、誰から聞いた情報なのか教えてもらいたい」とメール・オン・サンデー紙を批判した。  テレビ中継された公聴会で、グラントさんはメディアを「プライバシー侵害産業」と糾弾し、その「卑劣」な行為に立ち向かおうとテレビを通じて英国民に呼びかけた。  一方、メール・オン・サンデー紙もグラントさんに真っ向から反論する声明を発表。「メディアへの憎しみに駆りたれられた虚偽の発言による中傷だ」と、グラントさんの主張を切り捨てた。また、グラントさんが問題視した記事の情報源について、「定期的にカーンさんと接していたフリーランスのジャーナリスト」と主張した。 ■元恋人もツイッターで援護射撃  だが、これについてカーンさんは、「私と接していたという情報源とやらは、霊能者に違いないわ。だって、新聞に掲載されるまで私自身も知らなかった情報なんだから」とツイッター上で語っている。  盗聴行為に手を染めていたメディアはルパート・マードック(Rupert Murdoch)氏傘下の「ニューズ・オブ・ザ・ワールド」だけではなかったとの公聴会での証言は、グラントさんで2回目。  グラントさんは、メール・オン・サンデー紙に加えて、トリニティ・ミラー(Trinity Mirror)傘下の大衆紙デーリー・ミラー(Daily Mirror)も、医療記録を不正に入手したと非難した。    グラントさんは1995年、米ロサンゼルス(Los Angeles)の公道で売春婦とわいせつ行為におよび逮捕された事件からまもなく、ロンドンの自宅アパートに泥棒に入られているが、盗まれた物は何もなかった。だが、その後、室内の詳細がミラー紙に掲載されたことから、グラントさんは泥棒事件はミラー紙が仕組んだ「やらせ」で、情報は「犯人」か捜査当局、もしくは両者からもたらされたものだと主張した。  公聴会には、誘拐殺害事件の被害者ミリー・ダウラー(Milly Dowler)さんの両親も出席し、ニューズ・オブ・ザ・ワールド紙がダウラーさんの携帯電話の伝言メッセージを数件、削除したことから、ダウラーさんがまだ生きていると誤った期待を抱かされたと証言した。(c)AFP/Danny Kemp