避妊薬と避妊具の一部製品で血栓リスク増大、米当局

11月02日 14:47


米ロサンゼルス(Los Angeles)の薬局で販売される避妊薬(2011年8月1日撮影、資料写真)。(c)AFP/Getty Images/Kevork Djansezian


【11月2日 AFP】米食品医薬品局(Food and Drug Administration、FDA)は10月27日、女性用の避妊用品のうち経口避妊薬や避妊リング、避妊パッチなどの一部製品で、低用量ピルより血栓リスクが著しく増加すると警告した。  FDAは、対象女性80万人以上に上る複数の研究を調査。その結果、ドロスピレノンを含む経口避妊薬、月に1回膣内に挿入する避妊リング「ニュバリング(NuvaRing)」、週に1回皮膚に貼る避妊パッチ「オーソ・エブラ(Ortho Evra)」について、低用量ピルを服用した場合に比べ、非致死的特発性静脈血栓塞栓症(VTE)のリスクが増大することが示されたという。  ドロスピレノン含有経口避妊薬には「ヤーズ(Yaz)」「ヤスミン(Yasmin)」「Beyaz」などがあり、このうちドイツ製薬大手バイエル(Bayer)が開発したヤーズは、年間15億6000万個を売り上げる同社2位の売れ筋。ニュバリングは米医薬品大手メルク(Merck)、オーソ・エブラはヤンセンファーマ(Janssen Pharmaceuticals)が製造している。  避妊リングや避妊パッチと血栓リスクとの関連性が示唆されたのは今回の調査が初めて。FDAはさらなる検証が必要だと述べた上で、これらの避妊具を継続的に使っていると「エストロゲンに常にさらされ、エストロゲンを大量に摂り入れることになるため、血栓塞栓症リスクが高まる恐れがある」と警告している。 ■欧州も警告、訴訟沙汰にも  欧州医薬品審査庁(European Medicines Agency、EMEA)は今年5月、ドロスピレノン含有経口避妊薬が静脈血栓塞栓症リスクを高めると結論付け、警告ラベルにその旨を記載するべきだとの見解を示していた。ただ、経口避妊薬による血栓リスクは全体的には低いとして、服用停止の勧告は出さなかった。  ドロスピレノン含有避妊薬をめぐっては訴訟が絶えない。米国では前年、にきび治療のためヤーズを服用した18歳の女子大生が心停止し、遺族がバイエルを訴えている。  また英医学誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(British Medical Journal、BMJ)」は今年、ヤーズやヤスミンなどのドロスピレノン含有避妊薬の血栓リスクが従来の経口避妊薬の2~3倍だとする論文を2本掲載した。  ヤーズの公式ウェブサイトには「血栓、脳卒中、心臓発作などの深刻な副作用の危険性がある」と記されている。(c)AFP