【7月22日 AFP】韓国のオーディション番組「コリアズ・ゴット・タレント(Korea's Got Talent)」で披露した歌声がユーチューブ(YouTube)で1000万回以上視聴され、建設現場で働く男性が世界で話題になっている。 6月初旬、ジーンズにトレーナー姿のチョイ・サンボン(Choi Sung-Bong)さん(21)が緊張した様子で初めてステージに登場したとき、誰もあれほどの太く力強い声を期待してはいなかった。 観客に歌はうまくないと言ったチョイさんだったが、見事な「ネッラ・ファンタジア(Nella Fantasia)」を披露し、観客や審査員はその歌声に涙した。 ■過酷な子ども時代 英国のスーザン・ボイル(Susan Boyle)と比較されるチョイさんのサクセスストーリーは、彼のこれまでの厳しい人生を考えれば、さらに重みが増してくる。 「3歳で孤児院に置いていかれ、虐待され5歳で逃げ出した」 チョイさんは計3回の出演で、これまでの人生を明らかにした。10年間、路上でガムや飲み物を売ってお金を稼ぎ、階段や公衆トイレで眠っていたという。小中学校に通学した経験はなく、16歳で芸術系の高校へ入学し2009年に卒業した。 番組を放送しているチャンネル「CJ E&M」の広報担当者によれば、チョイさんは高校在学中も学費や生活費のために働かなければならなかったという。 チョイさんが人前で歌いたいと考えるようになったきっかけは、ナイトクラブで見た歌手だった。「ステージで心を込めて歌っていた歌手に魅了された」(チョイさん) チョイさんの歌声が放送されると、フェースブック(Facebook)にファンページが登場し、ユーチューブには多くの激励コメントが書き込まれた。 「音楽は僕の生きる理由です。生きる理由があることに、感謝しています」チョイさんはこのように話す。 番組の決勝戦は8月20日に行われる。(c)AFP