【6月15日 AFP】成長著しいインドの新興富裕層が、高級ブランドやスポーツカーといったラグジュアリー商品に夢中になっている。 アジア市場と高級ブランドについてまとめた書籍「The Cult of the Luxury Brand」を刊行した研究者/コンサルタントのラーダ・チャダ(Radha Chadha)は「人々は“富を見せびらかすのは悪趣味”というガンジー主義的な局面を抜け出しました」と語る。 富裕層は「ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)」や「プラダ(Prada)」「シャネル(Chanel)」「ブルガリ(Bulgari)」といった高級ブランドや、「フェラーリ (Ferrari)」「マセラッティ(Maserati)」といったスポーツカーに夢中だ。チャダは「ムンバイ(Mumbai)やニューデリー(New Delhi)で開かれる社交イベントにデザイナーのバッグ無しで行く女性は“勇気がある”といえるでしょう」と語る。 ■ショッピングモールの建設ラッシュ これまでは高級品を求める消費者は5つ星ホテル内のショップに行く必要があったが、ショッピングモールの建設ラッシュによって、より簡単に ショッピングを楽しむことができるようになった。その勢いは、マンモハン・ シン(Manmohan Singh)首相が、富裕層に対し「過度な浪費を抑え、誇示的な消費を控えるよう」呼びかけるほどだ。 ニューデリーのショッピングセンターには、お抱えドライバーが運転する高級車に乗った富裕層が2000ドル(約16万円)以上するバッグを買いにやってくる。あるビジネスマンの妻は、柔らかなレザーの「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」のバッグを3080ドル(約25万円)で購入した。「ここには義母を連れてきません。価格に衝撃を受けてしまうからです。何に対していくら支払うかも、決して言うことはできません。彼女にとっては500ルピー(約900円)のバッグですら大変なものなのです」 ■新興富裕層に共通する現象 莫大な資産を持ちながらも質素な生活をおくり、慈善活動に力を入れるウィプロ(Wipro Corporation)のアジム・プレムジ(Azim Premji)会長は、この現象は、中国やインドネシア、タイなどの新興富裕層に共通する現象だと考える。「富を得た最初の数年は、人は自分が大金持ちであることを誇示したいと考えるものなのです」 大富豪ムケシュ・アムバニ(Mukesh Ambani)は昨年10億ドル(約800億円)をかけ、ムンバイ市内に27階建ての「自宅」を建てた。かつては、妻に誕生日プレゼントとして、6000万ドル(約48億円)の高級ジェット機をプレゼントしたこともある。 高級輸入車を取り扱うShreyans Groupのアシシ・コーディア(Ashish Chordia)社長は「人々はもう自分自身にお金を使うことを恐れていません」と分析。国内での高級輸入車の売上は、高額の課税にもかかわらず昨年より80%も上昇した。BMIインドのAndreas Schaaf社長も「昨年は驚異的でした」と語る。 ■2015年までに3倍に 国際コンサルタント会社AT Kearneyは、インドのラグジュアリー市場は2015年までに現在の3倍にあたる150億ドル(約1兆2000億円)規模に成長すると予測。また、米証券大手メリルリンチ(Merrill Lynch)は、住居を除き100万ドル(約8030万円)以上の金融資産を持っているインド人の数は前年度の時点で12万7000人だと発表した。 一方で、インドの貧困層の割合は世界的にも突出しており、世界銀行(World Bank)によると人口の約42%にあたる4億5500万人が一日あたり1.25ドル(約100円)未満で生活している。健康状態や幼児死亡率、栄養状態はサハラ 以南のアフリカの国よりも悪い場合もある。 インディアン・エクスプレス(Indian Express)紙の編集者Shekhar Guptaは、富裕層は、貧困から「切り離され、断絶されている」とコラムで説明する。「子どもを私立学校に通わせ、個人病院で治療を受け、ゲートに囲まれたコミュニティの中で独自のセキュリティを持ち、交通機関を使用する必要もないのです」(c)AFP/Penny MacRae 【関連情報】 ◆モンゴルで新興富裕層増加、ラグジュアリー市場が拡大 ◆インドのファッションショーに「ソマルタ」ら日本の3ブランドも参加 ◆【インド・ファッション】過去記事一覧