北朝鮮の「人工衛星」迎撃、米国のジレンマ

03月18日 16:54


米ハワイ(Hawaii)州カウアイ(Kauai)島沖で行われた短距離弾道ミサイルの迎撃実験で、米海軍のイージス艦「レイク・エリー(USS Lake Erie)」から発射された迎撃ミサイル「SM-2」(2008年6月5日撮影、資料写真)。(c)AFP/US Navy


【3月18日 AFP】もし北朝鮮が予告通り来月「人工衛星」を打ち上げれば、バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領はジレンマに直面するだろう。  米政府が北朝鮮のロケットを迎撃すると決断すれば、それは米政府がミサイル防衛システムは設計通りの性能を発揮すると想定していることを示す。しかしそれには懐疑的な見方もある。  仮に撃墜できたとしても、オバマ大統領は北朝鮮からの報復や国際的な非難を受けるリスクを検討しなければならない。 ■安保理の足並みそろわず  北朝鮮は4月上旬に「人工衛星」を打ち上げると発表している。米国とその同盟国は人工衛星打ち上げのためであっても北朝鮮がロケットを発射することは国連決議に違反すると主張しているが、ロシアが消極的であるため国連安全保障理事会(UN Security Council)は北朝鮮に打ち上げ中止を求める明確なメッセージを出していない。  安保理の同意がなければ北朝鮮ロケットの迎撃は外交的に難しい。ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)前大統領政権の単独行動主義を批判してきたオバマ大統領にとっては特にそうだ。  米有力シンクタンク「ブルッキングス研究所(Brookings Institution)」のマイケル・オハンロン(Michael O'Hanlon)氏は、これまでの声明などから判断して米政府は北朝鮮ロケットの迎撃についてまだ方針を固めていないとようだと語り、日本に対する直接的な脅威や安保理の正式な同意がない状況で米国が迎撃に踏み切るのか、またそうすべきなのか疑わしいという考えを示した。 ■最大のリスクは迎撃失敗  北朝鮮ロケットの迎撃を命じる際の最大のリスクは、それが失敗する可能性があるということだろう。そうなれば米国は恥をかき、北朝鮮に勝利を手渡すことになる。  米有力シンクタンク、ランド研究所(RAND Corporation)のブルース・ベネット(Bruce Bennett)氏は、撃墜できなければミサイル防衛(MD)計画に対する米議会と同盟国の信頼を大きく損なうだろうと指摘する。 ■穏健=弱さ、強硬策=思うつぼ?  米国がとるべき外交的対応を考えるとジレンマが現れるとアナリストたちは指摘する。米国が穏健な対応をとれば北朝鮮側はそれを弱さの表れとみなし、強硬策をとれば北朝鮮の思うつぼになる可能性がある。  北朝鮮は1993年、核拡散防止条約(Non-Proliferation Treaty、NPT)からの脱退を宣言し、その年に就任したビル・クリントン(Bill Clinton)大統領(当時)に同様の試練を与えた。  米シンクタンク「アメリカ進歩センター(Center for American Progress、CAP)」のアナリスト、アンドリュー・グロット(Andrew Grotto)氏は、次に何をするか分からないと言われることが多い北朝鮮だが、ミサイル実験に関しては完全に予測可能だと言う。「彼らは外交上の主導権を失いつつあるときや、アジア諸国に対して軍事力を強調したいときなど注目を集めたいときにミサイルを発射する」(c)AFP/Dan De Luce