「星の王子さま」著者を撃墜、元独軍パイロットが証言

06月15日 18:55


2006年5月3日、フランスのカン(Caen)で開催の展覧会に出品されたアントワーヌ・ド・サンテグジュペリ(Antoine de Saint-Exupery)の航空服。(c)AFP/MYCHELE DANIAU


【3月17日 AFP】童話「星の王子さま(Le Petit Prince)」の著者として知られるフランスのアントワーヌ・ド・サンテグジュペリ(Antoine de Saint-Exupery)が操縦していた飛行機が、1944年にドイツ軍戦闘機により撃墜されていた。

 この戦闘機を操縦していたのは、元ドイツ軍パイロットのホルスト・リッパート(Horst Rippert)さん(88)。AFPに対し、「もし(その飛行機の操縦士が)サンテグジュペリだと知っていたら、絶対に撃たなかった。サンテグジュペリは好きな作家の一人だった」と語っている。

 リッパートさんは1944年7月31日、トゥーロン(Toulon)付近の地中海上空を飛行中、サンテグジュペリが操縦するライトニング戦闘機が自身の機体の下を飛行しているのを目撃。標識を確認し、後ろに回りこんで撃墜したという。

 戦後、ラジオのスポーツ記者となったリッパートさんが、当時撃墜した相手が誰だったかを知ったのはつい最近のことだった。

 事実を突き止めたのは、フランス人ダイバーLuc Vanrell氏と、戦時中に撃墜された戦闘機の行方を調査する団体の創設者Lino van Gartzen氏。両氏の調査結果は20日発売の仏語の著書「Saint-Exupery, the last secret(サンテグジュペリ、最後の秘密)」の中で詳述される。

 大戦中、自由フランス軍(Free French)空軍のコルシカ(Corsica)島の基地に属していたサンテグジュペリは44歳の時、作戦中に行方不明になり、その後の消息については長い間謎に包まれていた。

 1998年、マルセイユ(Marseille)沖でサンテグジュペリのブレスレットが漁師の網に引っかかっているところを発見された。その2年後、ダイバーのVanrell氏が戦闘機を発見して引き揚げた結果、製造番号からサンテグジュペリのものだと判明した。(c)AFP