「経口避妊薬は発がんリスクを減少させる可能性がある」 英国で36年越しの研究

09月12日 20:33


2004年10月21日、フィリピンの首都マニラ(Manila)で配布するために保管されている「家族計画用ピル」。(c)AFP/JOEL NITO


【9月12日 AFP】ピルの使用と発がんリスクの関係を長期にわたって調べた研究結果が12日、英医学誌「British Medical Journal(BMJ)」インターネット版に掲載され、「ピルの使用が女性の発がんリスクを増大させることはなく、大部分の女性については、発がんリスクを減少させる可能性がある」との結果が示された。  同研究は、平均年齢29歳の英国人女性4万6000人を対象に、1968年に開始された。このうち約半数の女性が経口避妊薬を摂取しており、残りは、一度も経口避妊薬を摂取したことのない女性だ。  36年にわたる調査期間中、大勢の女性が研究対象から外れたため、研究者らは発がんリスクに関する比較をするために、2つのデータ群を追加した。  研究を行ったアバディーン大学(University of Aberdeen)のチームは、ピル使用者に全体的な発がんリスクの増大は見られず、データ群によって異なるが3~12%の発がんリスク減少が確認されたと述べている。  だが、ピルの使用期間が8年を超える女性(ピル使用者の約4分の1)については、頸部や中枢神経系のがんのリスクが有意に高まるという。その一方で、これらの女性が卵巣がんを患う危険性はピルの使用により低下している。  公開された研究結果によると、「経口避妊薬と全体的な発がんリスクの増大に関連性は見られず、経口避妊薬が公衆衛生上の利益をもたらしている可能性もある」という。  2005年には、別の研究者により、遺伝変種の影響で乳がんを患う可能性が高い若い女性が経口避妊薬を摂取することで、実質的に乳がんの発がんリスクを減らすことができる、との調査結果が示されている。同調査は、オーストラリアの研究者が、米国、カナダ、オーストラリアの女性を対象に実施したもの。(c)AFP