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CULTURE 2021.3.16 

リチウムイオン電池が変えるインテリアの世界

リチウムイオン電池を使ったLED照明が話題を呼んでいる。コードレスで長時間使用が可能なこれらの照明は、インテリアの世界をどう変える?

ambienTec / TURN
リチウムイオン電池を使ったポータブル照明の流れを変えた逸品。シンプルな形状の中に時代の先を行く多くの機能が。最長で150時間の連続点灯が可能。2万9000円~ 問い合わせ:アンビエンテック Tel.045-441-0083

現代人の生活を大きく変えているリチウムイオン電池。充電が可能なうえにサイズに比べて容量が大きいことが特徴で、ここにきてスマートフォンや電気自動車が劇的に普及したのはこの電池のおかげだ。日本の吉野彰氏を含む3名の開発者にノーベル化学賞が与えられたことからも、歴史的意義が分かる。そしてこのリチウムイオン電池を使ったポータブルの照明器具が、インテリア界を変えつつある。

リチウムイオンが登場する前の充電池は、LED光源を用いても点灯時間は数時間ほどで、キャンプのランタンなどがせいぜい。それがリチウムイオン電池だと安心して一晩使えるのだから、色々と使い道がある。これまで通り屋外で使うのは勿論。鬱陶しい電源コードが無いのを生かし、レストランや自宅のテーブルの上だけを雰囲気ある光で照らす照明器具が、この2、3年相次いで登場している。特に目立つのが名作照明のポータブル化で、最新技術を用いて使い勝手が向上しより魅力的になっているものが多い。

日本製品が世界をリード

一方、専用にデザインされたものでは、2019年に日本のアンビエンテック社から発表された“ターン”が業界に与えた影響が大きい。持ち運びしやすい形やリチウムイオン電池とLED光源の組み合わせは他メーカーと同じだが、時代の先を行く機能が盛り込まれているのだ。なかでもUSBケーブルを刺さずとも専用の台に乗せれば充電できる機能は極めて便利。上部をタッチすることで、電源のオンオフや調光が出来るうえ、浴室などに持ち込んで使える防水対策も施され、停電時には防災灯になる。それでいて特別高価ではないので、ちょっとしたベストセラーとなっているそうだ。

こうしたポータブル照明があれば、道路や公園、ビルの屋上も、気の利いたテーブルと椅子を置くだけで、工事などなしに夜もカフェやバーとして使うことができる。そして日本の家庭では、天井に煌々と輝くシーリングライトが無くなる日が近くやって来るかもしれない。ともあれリチウムイオン電池が、インテリアの世界を変えていくのは間違いない。

& tradition / VP9
1960年代を代表するデザイナー、ヴァーナー・パントンの手による照明のポータブル版。コードが無いとポップさが際立つ。2万6000円 問い合わせ:ロイヤルファニチャーコレクション Tel.03-3593-3801
SANTA&COLE / CESTITA ALUBAT
必要な場所に簡単に持ち運びができるようにと1962年にデザインされた照明は、リチウムイオン電池の採用で本来の機能をより発揮できるように。9万9000円 問い合わせ:リンインクープ Tel.03-6323-8293
SHIRO KURAMATA PROJECT / SAMBA-M
1988年の発表時の技術では製作が難しく、少量が世に出ただけの倉俣史朗のオブジェも現代の最新技術で手の届きやすい価格で蘇ることに。近日発売予定・ 価格未定。問い合わせ:センプレデザイン Tel.03-6407-9061 Photo : Nacasa & Partners.

文=ジョー スズキ(デザイン・プロデューサー)

(ENGINE2021年4月号)

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