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CAR 2021.3.11 

イタリア上院議会が可決 イタリア人がこだわったナンバープレート改正法とは?

昔の車には、現行のナンバープレートは似合わない! そんなイタリア人のこだわりが議会を動かした。

1970年代中盤のフィアット500に装着されたオリジナルのナンバープレート。イタリアでは頻繁にプレートの意匠が変更されてきた。筆者が過去25年間に所有した4台の車も、それぞれ違う意匠のものが装着されていた。

イタリア上院議会は昨年末、古典車に新車当時のナンバープレートを装着可能にする道路運送車両法改正案を可決した。

この国の古典車ユーザーにとって、ナンバープレートは悩みの種だった。背景には過去10回にわたり、意匠が変更されてきたことがある。時代考証的にもヴィジュアル的にも、最も相応しいナンバープレートは、その車が発売された当時のものだ。それが維持されているかどうかは、車の価値を少なからず左右した。

幸い現行法では、すでに装着されていたナンバープレートは名義変更後も継承できる。問題は登録が失効していた車両である。その場合、たとえ戦前の伝説的モデルであろうと、公道走行するには容赦なく現行の欧州連合規格ナンバープレートを装着する必要があったのだ。

これは高級車収集家だけでなく、街角の愛好家にとっても頭の痛い問題だった。たとえばフィアット500(1957-1977年)のような小型車の場合、大判である現行型プレートは視覚的に極めて不釣り合いだからだ。

1999年からの現行型ナンバープレート。左の青い帯にはユーロ旗とイタリアを示す「I」の文字が入っている。その色彩と、520×110mmという大きなサイズは、古典車の雰囲気には往々にしてそぐわないものだった。

今回の法改正により、現所有者が運輸局に申請すれぱ、初回登録時と同じナンバープレートを複製して使用できるようになる(複製プレートの製作は指定業者のみに許可される見込み)。対象の車は今もAS(I イタリア古典車クラブ)が認定している「初回登録から30年以上、かつ内外ともオリジナル状態の個体」に限られる。一方でファシスト政権時代の紋章が刻印されたナンバープレートのように問題視されるケースもある。当時を示す図柄は禁止されているゆえ、さすがにこれだけは再現が難しそうだが……。

それはともかく、法改正は新車当時に外国へ輸出された車両にとっても福音となる。これらの車は過去に国内登録がないため、たとえ里帰りを果たしても欧州規格のナンバープレートを装着せざるを得なかった。そうした車も往年のデザインのプレートを申請・装着できるようになるのである。

法改正は前述のASIをはじめとする愛好者団体の悲願で、それを受けた上下両院議員十数名によって実現した。たとえナンバープレートという公的なものであっても真剣に改善を訴えていく。イタリア人のこだわりと美意識が結実した一例といえる。

1985年までに登録された車のナンバープレートは写真のように極めて小さい。これに大判の現行型プレートを装着すると、不釣り合いな印象になる。手前の車はフィアット創業家のジョヴァンニ・アニェッリのためにつくられた。
2020年夏に知人が購入した1968年式フィアット500には、幸いにも新車当時のナンバープレートが付いていた。イタリアの地方新聞の個人売買欄で見かける「オリジナルのナンバープレート付き!」の文言は、そのヴァリューを強調するためである。

文・写真=大矢アキオ Akio Lorenzo OYA

(ENGINE2021年4月号)

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