ENGINE WEB

CAR 2020.11.28 

フェラーリが放った優雅なFR 2+2 クーペ、ローマに乗る 一瞬で恋に落ちた!

昨年11月に、イタリアの首都ローマで発表されたフェラーリ・ローマ。まったく新しいコンセプトのスポーティで優雅なクーペと謳うそれは、どんな乗り味を持っているのか。イタリア人ジャーナリストが初試乗した。

「甘い生活」へのオマージュ

「ROMA」の名を逆さに読むと「Amor(愛)」となる。このフェラーリと恋に落ちるのにかかる時間は、まさに一瞬であるに違いない。

その最大の魅力は、古典と現代を見事に体現した美しさにある。250GTルッソなど不朽の傑作のそれを引き移したようにも映るボディラインは、映画『ドルチェ・ヴィータ(甘い生活)』へのオマージュというべきネーミングにピッタリだ。アストンマーティン・ヴァンテージやベントレー・コンチネンタルGT、ポルシェ911ターボSなどのライバルがひしめくマーケットにあっても、絶大な存在感を示すに違いない。

過去からの明確な脱却をアピールするインテリア。左右のシートはそれぞれが繭のように包み込まれている。インパネには16インチのHDスクリーン、センターに空調やマルチメディア専用の縦型8.4インチ・スクリーン、助手席に5.5インチ・スクリーンを装備。

しかしながら、ローマの造形はレトロ的な方法論とは無縁だ。そこには時代を超越したエレガンスがあり、ボディ面の処理とディテールは未来派とさえいうべきスタイリングの傑作である。例えばフロントマスクは近年のフェラーリとは一線を画した清新なものだし、一見、伝統の丸型4灯に見えるテールランプもすべてが一体化していて、ボディ幅一杯のブレード状スタイルを形成している。加えて何より重要なのは空力特性だ。決してオカルト的な意味はないが、ローマにもマラネッロ流のエアロダイナミクスの魔法が全身に仕掛けられている。その中でも分かりやすいのが、ドライブ・モードに応じて3段階に可変するリアウイングなのだが、これも250㎞/h時にポルトフィーノより95㎏も大きなダウンフォースを発生させるデバイスのひとつに過ぎない。

エンジンはSF90にも採用されたF154系V8ツインターボで、最高速度320㎞ /h、0-100㎞ /h加速3.4秒を謳う。

新しい発想のインテリア

姉妹車であるポルトフィーノとローマには、当然ながら多くの技術的類似点がある。共通のコンポーネンツは約30%に留まるというが、特に大きな違いを感じさせるのが、左右2つのコックピットを並べ完全に対称にするというアイデアを含め、人間工学の観点からも数多くの手が加えられているインテリアだ。数十年前から不変だった中央に位置するアナログの回転計が、16インチの液晶ディスプレイに取って代わられたのも、その一例といえるだろう。

ステアリングはSF90ストラダーレで初導入された新しいスタイルを継承する。スイッチやボタンは、フィーリングの点で改善の余地があると思う。マネッティーノもよりハイテクになったが、効果自体はこれまでと大きくは変わらない。ポルトフィーノの3モードに対して、ローマはフェラーリのGTとして初めて5モードのマネッティーノを搭載している。もちろん余裕をもって日常生活で楽しむのもフェラーリの魅力だが、「RACE」を選択するとローマの真価─つまり跳ね馬の紋章とそれが意味するすべてのことを何ひとつ諦める必要がないことが明らかになる。

パワーユニットは既に定評のある3.9LV8だ。最高出力は620ps 、つまりポルトフィーノより20psアップで、F8トリブートより100ps少ない。また、高速クルージングへの最適化を図るためDCTは8速とされ、よりクロースなレシオとなった。一方、シャシーで注目すべきは、458スペチアーレで初採用されたSSC(サイド・スリップ・コントロール)だ。このシステムの導入で、ドライバーはテールスライドをより安全にコントロールできる。

正真正銘のフェラーリ

ポルトフィーノとは異なるべきところがちゃんと異なるという意味でも、ローマは現行のV8フェラーリでは最も二律背反なモデルといえるかもしれない。

ツインターボによって過給されるV8エンジンは、ほかには真似のできないもので、タコメーターが5000rpmを超えると、貪欲なまでにスピードアップしてゆく。新しい8速DCTとの組み合わせはパーフェクトで、ギアをエンゲージする際のダイレクト感と変速スピードは、乗り手を震撼させるだろう。

この領域は、これまでV8リア・ミッドシップ車にのみ許されたものだったのだが、このローマにも当てはまる。そう、ローマは独自の個性を持ちながら、姉妹車との見事な二重取引を完了してしまったようだ。

これは正真正銘のフェラーリだ。ワインディングにあっても、マラネッロのトレードマークである軽さで、コーナーからコーナーへと貴方を誘う。フロントとリアの間の対話は、密にして強固な結晶体ともいえる。

そして、ローマにおいても電子制御システムが人間の感覚を汚染してこないことは、従来のフェラーリと同様の美徳といえる。もし貴方が小さなミスを犯しても、電制システムが巧みに隠してくれるだろう。もちろん貴方が上手く振舞えたなら、ローマはアナログのような自然さで、そのスキルにブーストを掛けたかの如く走ってくれるはずだ。

■フェラーリ・ローマ
駆動方式 エンジン・フロント縦置き後輪駆動
全長×全幅×全高 4656×1974×1301㎜
ホイールベース 2670㎜
トレッド (前)1652㎜、(後)1679㎜
車両重量 1630㎏
エンジン形式 V型8気筒DOHCツインターボ
排気量 3855cc
最高出力 620ps/5750-7500rpm
最大トルク 760Nm/3000-5750rpm
トランスミッション ツインクラッチ式8段自動MT
サスペンション(前) ダブルウィッシュボーン/コイル
サスペンション(後) マルチリンク/コイル
ブレーキ(前後) 通気冷却式カーボンセラミック・ディスク
タイヤ (前)245/35ZR20、(後)285/35ZR20
車両本体価格(税込) 2676万円

文=Alessio Viola 写真=Roberto Carrer/Ferrari S.p.A. 記事協力=Quattroruote 翻訳=武田公実

(ENGINE2020年12月号)

総合アクセスランキング

最新の人気記事

CAR トップへ