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CAR 2020.9.21 

21世紀初頭のベスト・カー決定! アルピーヌA110 2位にダブルスコアの差をつけて、堂々のHOT1!

エンジン"ホット100"ランキング、選考委員が選んだ20年間の集大成! ホット100スペシャルの頂点に立ったのは、ポルシェでもフェラーリでもなかった。2年前に彗星のごとく現れて、クルマ好き、走り好きのココロをいっぺんに引きつけたアルピーヌA110。アッと驚きの快挙である。

サーキットを走っているのは、昨年新たに追加された、よりスポーティな味付けのA110S。足回りを強化して車高を4㎜下げるとともに、ルーフをカーボン・パネルに換装して軽量化、エンジンもブースト圧を高めるなどして292psへと40psの出力アップが図られている。

決して時代の一歩先を行く先進性を持ったエポックメイキングなクルマというわけではない。むしろ、旧来の走り好きを熱くさせてきた古典的なライトウェイト・スポーツカーの生き残り、ないしは再来というべき1台である。それが"100年に一度の大変革期"と言われる2020年の〈いま・ここ〉にあって、なんと45人の委員のうち36人に20年間の集大成としてのホット20に選出され、ぶっちぎりのホット1に輝いたのだから、その示唆するものがなんであるかを、私たちはよくよく考えてみる必要があるだろう。

昨年ホット100初登場で、いきなりホット1の座を獲得!

「カタログ・スペックが命? になりつつあると感じるこの時代に、これ程まで軽やかに、心地良く走るスポーツカーが登場するとは思わなかった」と大井貴之氏が言い、「サーキットでないと本領を味わえないスーパー・スポーツカーが増えるなか、公道での楽しさに重きを置いたコンセプトが画期的」と大谷達也氏が指摘するように、500馬力を超える超ド級のスポーツカーが当り前のように次々と登場する時代にあって、252馬力のルノー日産アライアンス製4気筒ターボをミドシップに横置きで搭載し、軽さとバランスの良さを武器にしてクルマを操る楽しさを前面に打ち出したアルピーヌA110は、清水草一氏のように「スーパーカーの時代は終わった!」と結論付けるかどうかはともかくとして、一服の清涼剤のような爽やかさをもたらしたのは間違いない。

日本導入時に限定モデルとして登場したプルミエール・エディション。

「パワーが2倍も3倍もあるクルマより楽しいという初代と同じエスプリが盛り込まれている」と塩見智氏が言う通り、そのルーツはラリー・シーンで活躍した往年の名車、ルノー・アルピーヌA110にある。だからこそ「素のままでラリー・ドライバー気分が味わえる」(塩澤則浩氏)という感慨も生まれてくるわけだが、「現代のA110は限界付近のトリッキーな動きはなくなり、サーキットでも愉しく乗れる」と菰田潔氏が指摘する通りの運転のし易さを実現したことこそが、甦ったアルピーヌの真骨頂と言うべきだろう。「手練れでなくともコントローラブルな優しい操縦性」(上田純一郎氏)、「アンダー知らずの高い旋回能力とコントロール性を両立させた」(石井昌道氏)、「抜群のハンドリングと度を超さない程度に抑えた速さ」(嶋田智之氏)、「運転技量にかかわらず溌剌とした走りが楽しめる」(島崎七生人氏)と、ドライバビリティの高さへの賛辞は枚挙に暇ない。

一方で、「ウイングレスで空力特性を高めるためにRRでなくミッドにした点にも共感」と藤野太一氏が言うクルマ通を唸らせる創意工夫も随所にあって、「オリジナルモデルに憧れを抱くオヤジたちも納得の出来ばえ」(高平高輝氏)だからこそ、「口煩いエンスー諸氏をもメロメロにするスポーツカー界のアイドル」(藤原よしお氏)になっているのだ。

それでいて、「幸せは身近なところにあると思わせる価格」(荒井寿彦氏)すなわち、頑張れば「どうにか手が届きそうな800万円」(大井貴之氏)とくれば、森口将之氏ならずとも、クルマ好きなら誰しもが言わずにはいられないだろう。「生まれてきてありがとう」――と。

■アルピーヌA110
全長×全幅×全高=4205×1800×1250㎜、ホイールベース=2420㎜、車両重量=1110㎏。最高出力=252ps/6000rpm、最大トルク=320Nm/2000rpmの1.8L直4エンジンをミドシップに横置きで搭載し、7段DCTを介して後輪を駆動する。

文=村上 政(ENGINE編集長) 写真=柏田芳敬(サーキット)/郡大二郎

(ENGINE2020年9・10月合併号)

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