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CULTURE 2020.8.19 

『スター・ウォーズ』や『地獄の黙示録』の“音”はこうして作られた! ドキュメンタリー『ようこそ映画音響の世界へ』

映画を観ている時でも、当たり前のように聴いているのが、雨音などの環境音や、戦闘シーンなどでの効果音。これらの音響を専門とする、裏方の仕事に着目したドキュメンタリー映画がつくられた。

ジョージ・ルーカスは1969年にフランシス・フォード・コッポラらと共に映画製作スタジオ「アメリカン・ゾエトロープ」を設立。映像編集と音響編集、ミキシングの壁をなくすことを目指した。

キング・コングや『スター・ウォーズ』のチューバッカの声はどのようにして作られたのか? あるいはトム・クルーズの出世作『トップガン』に登場する戦闘機の音には、臨場感を加えるためのどのような工夫が凝らされていたのか? 「音は感情を伝える。映像体験の半分は音だ」と語るのは、本作にも登場するジョージ・ルーカス。『ようこそ映画音響の世界へ』はその名の通り、映画における音響の歴史、そして知られざる映画音響職人たちの仕事に迫る、珍しいドキュメンタリーだ。

初のトーキー映画『ジャズ・シンガー』が誕生したのは1927年。以降、映画音響の歴史にはいくつかの重要な転換点があり、オーソン・ウェルズやアルフレッド・ヒッチコック、ジョージ・ルーカス、フランシス・フォード・コッポラ、スティーヴン・スピルバーグ、バーブラ・ストライサンドといった一流のクリエイターたちがその進化に貢献してきた。彼らの映画づくりを支えてきたのは、もちろん音響の専門家たち。『地獄の黙示録』で当時としては画期的な多重録音に踏み切ったウォルター・マーチ、『スター・ウォーズ』ではチューバッカの声だけでなくR2-D2やライトセーバーの音も生み出したベン・バート、そして『タイタニック』や『ジュラシック・パーク』などで7度のオスカーに輝くゲイリー・ライドストロームなど、伝説的な音響デザイナーたちが次々に登場し、究極の裏方仕事でありながら、観客の感情を大きく左右する音響技術の“魔法”について語っていく。

本作にはスピルバーグのほか、デヴィッド・リンチ、クリストファー・ノーラン、ロバート・レッドフォード、バーブラ・ストライサンドといった大物映画人が登場。映画における音響の重要性について熱く語っている。

本作では『ブラックパンサー』や『ROMA/ローマ』といった最近の作品を含む30本以上の映画が紹介されているが、映画ファンにとっては、何気なく観ていた場面の裏に、驚くような音の苦労があったことが分かるのが面白い。だがそれ以上に、ベテランから若手まで、映画愛にあふれた30名以上の“音響オタク”が、意外なエピソードを披露しながら、自らの仕事を生き生きと語る姿に嬉しくなる。次にお気に入りの映画を観る時は、些細な音にもじっくり耳を傾けてみたい。そんな映画のさらなる楽しみを教えてくれる作品だ。

『地獄の黙示録』でアカデミー賞を受賞した音響デザイナーのウォルター・マーチ。『THX 1138』や『アメリカン・グラフィティ』など、初期の頃からフランシス・フォード・コッポラ作品に携わっている。
『ジュラシック・パーク』では恐竜の雄叫びが、リアルな映像にさらなる迫力と臨場感を加える。手掛けたのは本作でアカデミー賞を受賞したゲイリー・ライドストローム。

『ようこそ映画音響の世界へ』は8月28日(金)より新宿シネマカリテほか全国順次公開。
監督:ミッジ・コスティン。配給:アンプラグド。94分。

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文=永野正雄(ENGINE編集部)

(ENGINEWEBオリジナル)

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