CAR 2020.10.10
ぐっさん、こと山口智充さんの「人生を変えたクルマ」は三菱ジープ 16年間乗り続けてます!
TV番組の司会からコマーシャル、映画、ナレーション、そして音楽などで活躍するぐっさん。愛されるキャラクターの原動力はタフなジープです。

トゥルルルル。
「どうも~。こんにちは。山口です」
「こんにちは」の一言だけで、気持ちが和む。緊急事態宣言が発令され、外出自粛が続く状況は、自分の心にも影をさしていたのかと気付かされた。通話の相手はタレントの山口智充さん。ぐっさんには、相手の心をポッと温かくするオーラがある。
早速、車歴から聞いた。
「自分で最初に買ったクルマはホンダ・シビック・フェリオでした。それから、トヨタ・プロボックス、同ハイエース、ランクル70とかに乗り継いで、いまは三菱ジープとトヨタ・コンフォートの2台持ちです」
カクカクした四角いクルマが好きで、絶対条件はマニュアル・トランスミッションだという。
「豪華でなくていいんですけど、マニュアルは外せないですね。マツダ・ボンゴ、もうすぐ終わるじゃないですか? マニュアルの国産車がまたひとつ減ると思うと残念です」

特に思い出のあるクルマは?
「ハイエースです。2004年に買いましたから、現行型のカタチになった最初のモデルですね。これは運転していて楽しかった。視界は広いし、荷物はいっぱい積めるし。前席3人掛けなので子供を真ん中に座らせて家族3人で出かけるのが楽しかったです」
仕事もハイエースで行った。ハイエースでのエピソードは多い。
「早朝からのドラマ・ロケに1時間ぐらい前に着いたんです。クルマのなかで寝てたら、スライド・ドアーがガーッと開いて知らない2人が乗ってきたんです。チース! と」
驚いて振り向くとニッカポッカ姿のおじさんがいたという。
「現場行きの乗り合いハイエースと間違えたみたいで」
また、テレビ局に着くと、書類を持った警備員が飛んできて“配達? 工事?”と言われたという。
「家族ぐるみでお付き合いのある友人の奥さんが産気づいたことがあって、ご主人の代わりに僕が病院へ送ったんです。ハイエースで。板バネですからね、人生で最も丁寧に運転したのはあのときかもしれない」
ジープのために頑張った
カクカクしたクルマのなかでも、一番好きで16年持ち続けているのが三菱ジープだ。
「子供の頃からずっと好きで、いつかはジープに乗ると思って頑張ってきましたから」
手に入れた瞬間、願い続けていれば夢はかなうんだと思ったそうだ。ジープを手に入れたことは、自分のカーライフのなかで最も大きな出来事だったという。

なぜ、そんなに好きなんですか?
「ワイルドと言ってしまえば、それまでなんですけど、ほかにないデザイン、フォルムがある。唯一無二の存在感やタフなイメージも自分の琴線に触れるんでしょうね」
ぐっさんがジープに乗ったのは、自分の冠番組でのこと。ジープ好きなぐっさんのためにスタッフがロケ車両としてジープを借りてきてくれたのだという。
「これがジープか! と。すごく幸せでした。このままずっと乗っていたいと思いました」
番組用にジープを貸し出してくれたショップで、現在の愛車を見つけ、以来16年乗っている。
「愛知県の江南市のお店です。当時4歳の息子と一緒に東京から新幹線に乗って取りに行きました」
東名高速を東京へ向かって走っているときに、助手席の息子さんから言われた一言が忘れられないという。
「オトーサン、夢がかなって良かったねって。ちょっと、風景が滲みました(笑)」
幌がバタバタしてうるさかったけれど、それだけはしっかり聞こえた。ところが、ぐっさんにしてみれば、ジープのそういう快適でないところがいいのだと言う。
「夏は暑いし、いまの時代には相応しくないと思います。だからこそ、楽しい。この時代に必要ない存在になればなるほど、余計に愛おしく、嬉しくなるんです」
自分の価値観を確認できるものを所有するのは嬉しいと、ぐっさんは言った。ジープはぐっさんがぐっさんであるためのものなのだろう。
ジープで走ってみたいところは?
「母の実家の奄美大島です。フルオープンにして、風も空も太陽も全部感じて走りたい」
4歳だった息子さんもすでに成人している。もう一度親子で奄美大島を走るのか? それとも奥さんと二人か? ぐっさんならきっと実現するだろう。今欲しいクルマは?
「インドのマルチ・スズキが出しているジプシーと、ロシアのウァズ・ハンターですね」
まあるい心の人はずっとカクカクしたクルマが好きなようだ。


文=荒井寿彦(ENGINE編集部) 写真=鈴木 勝(人物&三菱ジープ)
(ENGINE2020年7・8月合併号)