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CULTURE 2020.8.4 

これぞ250馬力のカメラ!? 4000万画素のライカM10-Rがスゴイ

ライカMシステムにライカM10-Rが加わった。ライカM10の高解像度モデルであるこのカメラは、一度手にすると後戻りできなくなるほどの圧倒的な描写力を誇る。

ドイツの名門、ライカカメラ社からレンジファインダー式デジタルカメラ、ライカM10-Rがリリースされた。レンジファインダーとは距離計連動式ファインダーのこと。このピント合わせのシステムと撮影フレームを組み合わせた画期的なファインダーを搭載したライカM3が登場したのは1954年のこと。伝統のスタイルはデジタルに受け継がれ、現在はフィルムカメラ時代のボディと同等の薄さを持つライカM10シリーズがライカMシステムの中核となっている。

ライカM10-Rの天面

これがライカM10-Rの天面。フィルム巻き上げレバーが存在しないことを除けば、ほとんどフィルム機のライカと同じだ。操作のメソッドや手触りを変えることなく、革新的な技術を盛り込んでいくのがライカのものづくりの流儀と言える。ライカM10-Rは現行品のライカM10とほぼ同じ外観だが、撮像素子が2400万画素から4000万画素にアップしている。

新製品発表は、ライカカメラ本社のあるドイツ・ウェッツラーからオンラインで配信された。左が社主のアンドレアス・カウフマン博士。右は開発責任者のステファン・ダニエル氏。

ライカM10-Rをアンヴェールしたあと、カウフマン博士は画素数を増やすことの有用性についてダニエル氏に問う。すると「100馬力の車しか知らなければそれで満足するかもしれないけれど、200馬力、250馬力の車のキーを手にしたら、前の車に戻れなくなるような感覚がライカM10-Rにはある」と説明。するとカウフマン博士は「あるいはAMGチューンのような車だね」と相槌を打つ。

実はこの2人、かなりのカーマニアなのだ。ダニエル氏の愛車は「この車は200km出る」というジャガーEタイプで、その他にボルボ164(渋い!)も所有している。かたやカウフマン博士はアルファロメオ8Cコンペティツィオーネでザルツブルグの自宅からドイツ・ウェッツラーにあるライカカメラ本社に乗り付ける。「4Cもあるよ」とのことだが、それよりもっと古い世代のアルファロメオも所有しているらしい。

車の馬力とカメラの画素数の関係は、ボディサイズの要素もあわせて考えると得心できるのではないだろうか。すなわち、身体感覚と同化できるコンパクトなボディに驚くべき馬力や画素数を載せたマシンは、特別な体験をもたらせてくれる。

不変のスタイリングと操作感を持つボディに4000万画素の撮像素子を実装することで、写真の自由度が増すとダニエル氏は語る。すなわち、撮影した後に大胆なトリミングをしても画質的に問題ない。また、高画素になれば1画素の受け止められる光の量が物理的に少なくなるが、ライカM10-Rでは新開発のセンサーユニットにより低照度の条件にも強く、ダイナミックレンジに関しても2400万画素のライカM10以上の性能だという。

針で突くようなシャープさとスーパーナチュラルな色再現を得たいなら現行のライカMレンズが最適の選択だが、20世紀に製造された古いライカMマウントの交換レンズを装着する場合はどうだろう? 解像力という点においては画素数に追いついていない部分があるにせよ、ライカM10-Rではそれぞれのレンズが持つ個性、いわゆる“レトロルック”がより際立って描写され、よい結果が得られたという。

ライカM10-Rの背面

ライカM10-Rの背面はシンプルそのもの。タッチスクリーン式の液晶モニター横には3つのボタンしかない。このユーザーインターフェイスはライカM10や、そのプロフェッショナルモデル、ライカM10-Pに準拠したもの。シャッターユニットもライカM10-P同様で、歴代のM型ライカの中で、作動音が最も静かであることも美点のひとつだ。

ライカM10-Rを用いて撮り下ろされた作品が、銀座にあるライカプロフェッショナルストア東京で公開されている。若木信吾氏は、フィルム機のライカM3やM6に加え、ライカS3やライカM10-Pなどを作品撮りにも取材にも常用し、ライカとの付き合いは長い。今回の制作にあたり初めて手にしたライカM10-Rが、今までのライカと見た目や操作の方法や感触が何も変わっていないのに、今までの体験を超える撮影結果が得られることに驚いたという。

若木信吾写真展「My Garden」は2020年8月22日まで、ライカプロフェッショナルストア東京で開催中。東京都中央区銀座6-4-1 東海堂銀座ビル2階 Tel.03-6215-7074 11:00-19:00 日月定休 入場無料 ©Shingo Wakagi  ※新型コロナウイルス感染症の影響により営業日および営業時間が変わる可能性があります。

「My Garden」というタイトルどおり、本作のモチーフは花である。花を撮っているが、クローズアップではなく、植物が花を咲かせている全体の状況を伝えるフレーミングが印象的だ。写真は撮影者のまなざしにプラスして、記憶や知覚以上のものが必然的に捉えられてしまう。それが写真の奥深さであり面白さだと若木氏は語る。

雑誌・広告・音楽媒体など幅広い分野で活動する写真家の若木信吾氏。吉本ばなな原作『白河夜船』など映画監督としても知られている。

花との偶然の出会いを素直に受け止め、ライカM10-Rのシャッターを押す。そこには撮影者のパッションとともに、花そのものの美しさ、形態のディテール、その花を咲かせている環境までが一挙にキャプチャーされている。そんな奇跡的な写真が撮れるポテンシャルをライカM10-Rは持っているのだ。

7月24日に発売されたライカM10-R。4000万画素の撮像素子を搭載するライブビュー機能付きレンジファインダー式デジタルカメラ。ライカMバヨネットマウントのレンズ交換式システムを採用。光学式ファインダーには28-135mmまで6種類の撮影フレームを自動表示する。ISO感度は100-50000相当をカバーし、シャッター速度は1/4000-960秒。ブラッククロームとシルバークロームを用意。希望小売価格は105万円(税別)。

問い合わせ=ライカカスタマーケア ℡.0120-03-5508 https://jp.leica-camera.com/

文=ガンダーラ井上

(ENGINEWEBオリジナル)

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