これまで出会ったクルマの中で、もっとも印象に残っている1台は何か? クルマが私たちの人生にもたらしてくれたものについて考える企画「わが人生のクルマのクルマ」。雑誌『エンジン』で時計などの撮影を創刊からずっと担当しているカメラマンの近藤正一さんが選んだのは、「モーガン」だ。カメラマンとして独立を目指した頃から憧れたモーガン。夢を叶え、3台乗り継いできた車はもはや人生のかけがえのない相棒だという。
ナンバーはイケイケゴーゴー!
編集部から今回のお題を受け、いろいろ迷いましたが、僕が選んだ一台はやはりモーガン。この車は僕が1982年に独立する頃、同じ時期に独立を目指していた仲間と夜な夜な集まっては仕事がうまくいったら何したいとか車は何を買うとか夢を語っていた時に、僕はモーガンが欲しい、と言うより絶対買うと周囲に宣言した車でした。
そんなモーガンとの縁は、僕がまだ独立前、とあるスタジオの社員カメラマン時代に始まります。当時、一緒に仕事をしていた広告代理店に車好きのAD(彼はロンドンのアートスクール卒でモーガン社の仕事をした際に、その対価としてボロボロの+8を貰って日本に持ち帰り、自分で塗装も含めフルレストア。当時のモーガンクラブのコンクール・デレガンスで優勝した筋金入りのエンスージアスト)がいて、その人と半分趣味で中古車屋の雑誌広告用の写真を月イチ位で撮影していました。そのお店はイタ車、英国車がメインのお店で、フェラーリ328や365BB、ランチア、ジャガー、MGなど月に10台以上撮影していました。その中で一番惹かれたのがモーガン。長いフロントフードにメッキのラジエーターグリル、流れるようなフロントフェンダー。まだ30歳前後の若造の僕にもその端正で格式高い様式美を纏い、時代の流れとは距離を置いたモーガンは魅力的でした。さらに興味を持ったのは、ほぼ手作りだということ! モーガン社の製作過程のビデオを見たら、なんと一台一台現場合わせの手叩き。これは事故ってパーツ取ってもフィッティングが大変だろうなぁ~って思いました。
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