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CAR 2020.7.12 

【試乗記】アルピーヌA110リネージ♯1 垂涎のスポーツカーが編集部にやってきた 超軽快なハンドリング・マシン !

ENGINE2019年のホット100では、みごとホット1の座に輝いたアルピーヌA110。もっか最注目のスポーツカーが、編集部にやってきたわけは? 

きっかけは2019年10月5日に富士スピードウェイのショート・コースで開かれたエンジン・ドライビング・レッスンだった。

本コースでは世界耐久選手権(WEC)の予選が行なわれていたこの日、そのレースにもレーシング・カーが参戦していたアルピーヌのロード・カー、A110の走りをエンジン読者に体験してもらう特別レッスンをアルピーヌとのコラボレーションで企画したのだ。まずは自らの愛車で走った後、アルピーヌで同じコースを体験試乗するというプログラムだったが、実はそこに私も79号車のポルシェ911カレラ4Sで加えてもらっていた。

ところが、きついアップダウンに加えて、直線が短く、様々なコーナーが次々と現れるこのコースは、4WDで車重が1520㎏もある79号車にはいささか過酷すぎた。タイヤは新品だったものの、ブレーキがほとんど終わりかけていた79号車で苦労して走り、そのあとアルピーヌに乗り換えた時の驚きといったら、なんと表現したらいいかわからないくらい新鮮で強烈なものだったのである。

車両スペックは、全長×全幅×全高=4205×1800×1250㎜。ホイールベース=2420㎜。車重=1130㎏。252ps/32.6kgmのパワー&トルクを発生する1.8ℓ直噴直4DOHCターボをミドシップに搭載し、デュアルクラッチ式7段自動MTを介して後輪を駆動。

アルピーヌA110の車重は、この日乗ったピュアで1110㎏。79号車との400㎏強の重量差は、サーキットではとてつもなく大きい。しかも、リア・エンジンの911と違いミドシップなのだから、ステアリングを切り込んでいった時の軽やかなノーズの動きがまるで違っている。すでに一般道で試乗して、その軽快なハンドリングは知っていたものの、初めてサーキットを走って、あまりの気持ち良さに完全にノックダウンされてしまったのである。

リネージは「血統、家柄」の意。洗練されたデザインと快適性を特長とすると謳っているだけに、クロス地の軽量モノコック・バケットシートを装備するピュアに対し、高さ調整とリクライニング機能のついたブラウン・レザー・スポーツシートを標準装備する。
オーディオも軽量サブウーファー付きとなり、音質が素晴らしくいいのには驚いた。これはピュアも同様だが、フロント・ソナーやリア・カメラ等も付いており、日常での使い勝手を良くする装備品もひと通り揃っている。ただし、ひとつだけ困るのは大きなモニターがあるのにナビが付いていないことだ。スマートフォンをつなげて対応可能というが、もっか使い方を研究中。

で、そんな話を、その日、富士に来ていたアルピーヌの広報担当者にしたら、「じゃあ、編集部に1台貸し出しますから、長期リポートで乗ってみてはいかがですか?」という耳を疑うような提案が返ってきた。そりゃ、飛びつかないわけがない。79号車とダブルで担当することになりますよ、という条件にもオーケーをもらい、晴れてポルシェ911とアルピーヌA110の長期リポート車2台持ちという、私にとっては夢のまた夢のような企画が実現することになった次第である。

ちょっと待て、いくらなんでもそりゃ贅沢で生意気だゾ、と思われる読者のみなさん、これも日頃からそれなりに苦労している編集長の役得だと思って、どうかお許しあれ。実は自宅にはもう1台、ポルシェ・ボクスター(987型)もあるので、スポーツカー3台を乗り比べながらのリポートを、これからトコトン真摯な態度で展開していこうと思っているのですから。

アルミ製ペダルの他に、運転席にも助手席にもアルミ製大型フットレストを標準装備する。
エンジンへの空気取り入れ口はリア・クォーター・ガラスとCピラーの間にある。

街の曲り角でも気持ちいい

で、1月半ば過ぎに本当に編集部にやってきた長期リポート87号車となるアルピーヌA110。グリ・トネール、英語で言えばサンダー(かみなり)・グレーと名付けられた美しくも落ち着いたメタリックの外装色を持つまっさらな新車で、グレードは高級志向のリネージ。国内では数少ない左ハンドル仕様である。

ドアを開くと、シックなブラウン・レザーを使ったサベルト製のスポーツシートが目に飛び込んできた。高さ調整とリクライニング機能に加えて、シート・ヒーターも付いている。ステアリング・ホイールやダッシュボードにも同じブラウン・レザーが使われており、水色のステッチとのコントラストがさりげなくオシャレだ。そのほか、要所要所にカーボンやアルミのパーツが使われていて、全体としてスポーティとラグジュアリーがほどよくバランスされている。着座位置は低く、シートも室内空間もそれなりにタイトで、運転席に着いただけでいかにもスポーツカーに乗っている感覚になる。

エンジンの始動には、知らなければ絶対にできない一種の儀式が必要だ。まずはカードキーを助手席側のダッシュボードにあるスロットに差し込み通電させなければならない。その上でブレーキを踏みながらセンターコンソール上にあるエンジン始動ボタンを押すと、低い雄叫びを上げてドライバーの背後に横置きされる1.8ℓ直4ターボに火が入る。

荷室容量はフロントが100ℓ、リアが96ℓ。

あとは同じくセンターコンソール上のDボタンを押せば、デュアルクラッチ式7段自動MTが前進のオートマチックモード走行ポジションに入って、走り出すことができる。

もっか慣らし運転中なので、基本的に3000回転までで走るようにしている。スポーツ・モードも一度も使っていない。とはいえ、箱根まで2度往復した印象でいえば、ノーマル・モードでも十分にスポーツカーに乗っている感覚を濃密に味わうことができた。クルマが動き出した瞬間から、圧倒的な軽さが伝わってくるし、街中のコーナーをゆっくり曲がるだけでも、その軽さとバランスの良さからくるノーズの入り方の気持ち良さにハッとさせられることがたびたびあった。

さらに山道を走らせれば、それこそ3000回転までに抑えていたって、超軽快なハンドリングのおかげでコーナーを曲がるごとに後続車に差をつけて、あっと言う間に置き去りにしてしまう速さを見せつける。最初はやや硬めの足が気になったが、走行800㎞を超えた現在ではすでに当たりが付いて、早くも気にならないレベルになっている。低く野太いエンジン・サウンドはノーマル・モードでも大きく、かなり演出されている感じだ。さらにスポーツ・モードにするとどうなるか、間もなく1000㎞を超えたら試してみることにしよう。

文=村上 政(ENGINE編集長) 写真=柏田芳敬

87号車/アルピーヌA110リネージ
ALPINE A110 LINEAGE
新車価格:844万4000円
導入時期:2020年1月
走行距離:814㎞

(ENGINE2020年4月号)

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