先ごろ、純EVの新型500を発表したフィアットだが、その新型500と併売される内燃機関搭載の現行型500と、パンダ・クロスに、同社初となるマイルド・ハイブリッド式パワートレインを載せたモデルが追加されている。
新開発されたパワートレインは、すでに500Xなどに搭載されている新世代ガソリン・エンジンの"ファイアーフライ"モジュラー・シリーズの3気筒型をベースとするもので、そこに12VのBSG(ベルト・インテグレイテッド・スターター・ジェネレイター)を組み込んだものだ。3気筒ユニットの排気量は1ℓ。SOHCで各気筒当たり2本のバルブを持つが、吸気バルブは電子制御式アクチュエイターを組み込んだ油圧回路を介在させて、開閉特性を連続可変制御し、スロットルバルブの役を担わせる"マルチエア"方式を採っている。最高出力は70㎰ /6000rpm、最大トルク9.4kgm/3500rpmを発揮する。圧縮比12:1の自然吸気型である。
システム名のとおり、補機駆動ベルトで一括駆動される発電機は減速時にリチウム・イオン・バッテリー(11Ah)への電力回収の役を担い、必要時には最大出力3.6kWの電動モーターとして駆動ベルトを介してクランクシャフトに駆動トルクを伝達するほか、エンジン・スターターとして、アイドリング・ストップ機構と連動して働く。
もちろん、主たる目的は燃料消費率(二酸化炭素排出量)の低減で、平均で20%の燃費向上を実現する。パンダ・クロスでは最大30%の燃費向上を可能にしたという。
組み合わされる変速機はフィアット自製の専用6段マニュアル・ギアボックスのみとなり、6速のギア比は極端にハイギアード化されている。郊外での巡航用という扱いだ。この変速機と新型エンジンの組み合わせによって、エンジン搭載高が低められた結果、ノーズ重心が下がり、ハンドリング性能や乗り心地にも貢献しているという。
導入記念モデルとして、500とパンダ・クロスともに専用の仕立てが施されたローンチ・エディションが設定されている。500ハイブリッドは通常ルーフの他に、キャンバストップ仕様も選べる。テールゲートには控えめなHYBRIDのバッジが付く。
文=齋藤浩之(ENGINE編集部)
(ENGINE2020年6月号)
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