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CULTURE 2020.5.4 

坂倉準三から倉俣史朗まで 再評価される日本の名作家具

かつて一世を風靡した、日本を代表する デザイナーたちの家具が海外で再び注目を集めている。 その人気に後押しされ、再生産が決まったケースも。

倉俣史朗 Kシリーズ 1972年

通称の「オバQ」がデザイン的な特徴を物語る。自然なドレープは、手作業でないと作りえないもの。今回は高さ58.5㎝のMサイズのみ再生産される。8万5000円 製造:YAMAGIWA   問い合わせ:YAMAGIWA TOKYO Tel.03-6741-580

バブル期前に登場した我が国の名作家具が、国内よりも海外で高く評価されている。家具の歴史のない国のデザインが国際的な評価を得るため、独自性を追求した結果生まれた、どこか日本を感じさせる個性が魅力なのだろう。世界中のマニアが参加するオークションを見れば、その人気の度合いが分かる。

昨年のロンドンで取引された坂倉準三の低座イス。昭和後期に生産された2脚に、なんと200万円を超える値段がついた。現在も生産の続いている椅子が、新品の15倍近い評価を受けるとは驚きだ。

坂倉準三 低座イス 1960年

畳に座る日本の生活を考慮した座面の低い椅子は、何度も改良を重ね、最終的にこの形にたどり着いた。意外なようだが、海外のデザイナーにも影響を与えている。7万1000円~    製造:天童木工  問い合わせ:天童木工東京ショールーム&ストア Tel.0120-24-0401

去年の別のオークションでは、柳宗理のアームチェアも、新品があるにもかかわらず、昭和期に作られた1脚に70万円がついている。

柳宗理 アームチェア 1978年

発表から数年で製造中止に。その後別の会社で製造された時期を経て、2007年から現在の会社で。昭和に登場した時と比べ、高い技術で製造されている。24万円(受注品) 製造:飛驒産業 問い合わせ:飛驒の家具館 高山 Tel.0120-606-655

こうした名作家具も、日本国内であれば、中古品として安い値がついてしまうケースが殆ど。国際市場で、ヴィンテージとして高く評価されているのとは対照的だ。

"オバQ"の生産も再開

しかも、オークション価格を知る海外のファンからすると、日本の名作家具の新品は、驚くほど安く感じるようで、「本物」と信じてもらえないケースもあったとか。

剣持勇の通称Hacoソファには、世界的に知られる某ファッション・ブランドが銀座の店舗を改装する際、特注のオーダーが入った。さほど知られていないこのソファを選ぶとは、目が肥えている。贅をつくした特注の費用は、新品の数倍だったはず。それでも欧米の高級ソファの標準的な価格でしかない。

剣持勇 Haco   1964年

当時好んで使われた素材である、成形合板の魅力を存分に生かしたデザイン。国立京都国際会館のために作られた。写真の3人掛けの他に、1人用がある。41万8000円~    製造:天童木工 問い合わせ:天童木工東京ショールーム&ストア Tel.0120-24-0401

倉俣史朗の照明、通称"オバQ"も。実は、ここ何年か生産されていなかった。その間オークションで、50万円近い価格がついたことも。こうした海外での人気も後押ししたのだろう。

この度生産が再開され、6月より販売されることになった。長い事据え置かれていた価格は、原料アップもあり7割増だが、これで世界的評価に相応しい価格に少し近づいた。

そして忘れてはいけないのが、これらは国産ならではのクオリティで生産されていること。登場時と比べ、製造技術が格段に上がっているものもある。デザイン、品質、価格と三拍子揃っているのだ。日本の名作家具は、もっと注目すべき存在である。

文=ジョー スズキ(デザイン・プロデューサー)

(ENGINE2020年6月号)

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