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CAR 2020.3.21 

【試乗記】フェラーリ・ポルトフィーノに清水草一らが試乗! 「F40の幻影が浮かぶ」

フェラーリ・ポルトフィーノとは、どんなクルマ?

フロント・ミドシップ搭載のV8とリア・トランスアクスルという基本レイアウトをカリフォルニアから受け継ぎながら、見事なまでの変貌を遂げたポルトフィーノ。イタリアの風光明媚な港町の名前をとった2+2クーペ・コンバーチブルは人気絶大で、世界中で需要に供給が追いつかない状態が続いている。コンフォート・モードにすればレイドバックしたのんびりドライブすら可能な柔軟性を備える。全長×全幅×全高=4590×1940×1320㎜。ホイールベース=2670㎜。変速機は7段自動MTのみ。車両価 格は2631万円(税込)。

清水草一の意見! F40の幻影が浮かぶ 

スーパーセレブのための実用スーパーカー、フェラーリ・ポルトフィーノ。自分とは無縁のフェラーリながら、その完成度の高さには度肝を抜かれた。まずエンジンが素晴らしい。パワフルで扱いやすいのは言うまでもないが、ポルトフィーノのV8ターボは明確な獰猛性も獲得している。回転計の針を5000rpmより上の領域に持って行けば、そこにはF40の幻影すら浮かび上がってくる! 488GTBよりも70馬力低いはずなのに、なぜかずっとワイルドに感じさせる。まさにテクノロジーの勝利。

サウンドも進化している。フェラーリ自然吸気エンジンの甲高いサウンドを惜しむ声は絶えないが、ポルトフィーノのそれは相当程度フェラーリ的。しかもターボとしては異例なほどエンジン・ブレーキが効いてくれる。おかげで速度をコントロールしやすく、スポーティかつ快適なのである。フェラーリのテクノロジーは、エコロジーの大波をかぶりつつも、それを突破しつつある。これならハイブリッド化も潜り抜けてくれるだろう。

森口将之の意見! 天は二物を与えた

リトラクタブル・ハードトップのデザインは難しい。折り畳んだルーフがかさばるので、ルーフもトランクもスタイリングの制約が大きいからだ。さすがのフェラーリもカリフォルニアではそのジレンマから逃れることはできなかったようで、オープンはまだしもクローズドのフォルムはハードトップを被せたことが一目瞭然だった。ところがポルトフィーノは流麗なファストバック・スタイルを手に入れている。構造を考えれば不可能ではないかと思えるような造形を実現している。

このブランドにとって美はやっぱり譲れない項目だったのだろう。あるときはエレガントなクーペ・スタイルとともにスポーツカーそのものの走りに没頭し、あるときは屋根を開け放って天空から降り注ぐフェラーリ・ミュージックを堪能する。2+2キャビンの使い勝手の良さも魅力に数えられる。このブランドに限っては、天は二物を与えてしまったようだ。それを考えれば2000万円台後半のプライスはさほど高くないと思ってしまうから不思議である。

今尾直樹の意見! どうなってもいい!

ステアリングホイールに設けられたエンジン・スタートの赤くて丸いボタンを押すと、マラネロ製の3855cc V8ツインターボがグオオオンッといなないて目覚める。それだけで、おおおお、と思う。ありがたいことである。折りたたみ式ルーフを開けて走り出すと、いずこからか、むおおおおおおおおおおっという低音がドライバーのまわりを包み込む。そこからアクセルをガバチョと踏み込むと、ポルトフィーノのV8は乾いた野太い咆哮を発しながら、胸のすく勢いで加速する。

速いだけならフェラーリより速いクルマはほかにもある。でも、加速の際に大地の底からエネルギーが湧き上がってくるようなイメージを抱かせるクルマはフェラーリ以外にない、と私は思う。ああ、生きててよかった。ライフ・イズ・ビューティフル! 生命力がなんだかあふれてくる。さらに右足に力を込めると、7段DCTが自動的にギアを変え、同時にV8ツインターボも音色を変えて、ああ、もうどうなってもいい、ケ・セラ・セラ、なんてことまで思わせる。フェラーリは神である。

高平高輝の意見! 華やかなエンジン

自由自在にサックスが吹けたならこんな気持ちになるのかもしれない。これがV12になるとオーケストラを指揮しているような気分になるのだが、この3.9ℓ V8ツインターボ(600㎰と760Nm)の場合は、ジャズのカルテットで縦横無尽にソロを吹いているようだ。爆発的なパワーを噴出させられるのはもちろんだが、右足ひとつで高く低く、遠く近く、滑らかにあるいは鋭くと、どのようにも応えてくれる甘美で繊細なエンジンである。

回転の上昇につれてパワーがふんだんにリニアに溢れ出すフィーリングはきめ細やかで、かといって神経質すぎることもなく、剽悍なミドシップ・モデルにはない、香り立つような華やかなエレガンスに満ちている。乗り心地にしてもハンドリングにしても、先代に当たるカリフォルニアから10年余りでここまで洗練されたか、としみじみ感心するが、それでもやはりコンメンダトーレの時代からモデナ地方の名産は内燃エンジンである。どうせ縁がないからなどと言わず、許されるうちに一度は試してみてほしい。

(ENGINE2020年4月号)

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