2020.03.26

CARS

【試乗記】キャデラックXT6に清水和夫らが試乗! 「すべてがキャデラック」

キャデラックXT6とは、どんなクルマ?

2019年12月に上陸したキャデラックの最新SUV。フルサイズSUV、エスカレードとコンパクトSUV、XT5クロスオーバーの間を埋めるモデルとなる。日本仕様は2-2-2の6人乗り。エッジの効いたモダンな外観と、レザーとウッドがてんこ盛りのゴージャスな室内が魅力。全長×全幅×全高=5060×1960×1775mm。ホイールベース=2860mm。車両重量=2110kg。3.6リッターV6は最高出力314ps/6700rpm、最大トルク368Nm/5000rpmを発生、9段ATを介し全輪を駆動する。車両本体価格=870万円。


清水和夫の意見! すべてがキャデラック

すでに他界してしまった徳さん(徳大寺有恒)はキャデラックを「キャディ」と呼んで親しんでいた。元々はフランスの貴族の名前が由来とのこと。そう、GMにとってキャデラックは伝統的な高級ブランドなのだ。 ところで最近のクルマ好きでも、SUVの語源を知らない人が多い。スペース・ユーティリティだと誤解さ れそうだが、もともとは親父のピックアップ・トラックにサーフボードを載せて走る若者のライフスタイルを「スポーツ・ユーティリティ・ビークル」と呼んだのが 語源。だから、ライフスタイル的には遊びゴコロが大切なのである。何も4駆でなくてもいいのだ。


XT6は3列シートの高級車。レクサスならRXやLXがライバルかもしれないが、その走りは、正直に言うと キャデラックの勝ち。乗り心地、高速安定性など、どれをとってもキャデラック。気になるのは3.65ℓのV6自然吸気エンジンだ。フィールは良いのだが、「グレタちゃん、ごめん!」と叫びながらフル・スロットルにすると、ガソリンがどくどくとシリンダーに流れ込む。それはそれでいいではないかと納得した。


生方 聡の意見! アメリカは懐が深い

一見クールでとっつきにくそうな美女が、話してみると気さくで気遣いのできる素敵な女性だった......。そんなギャップに心がときめいたこともあったけれど、このXT6もまさにそういうタイプ。アメリカ勢のなかではとびきり端正で精悍な見た目のキャデラックだが、XT6はSUVらしい存在感を前面に押し出すことなく、むしろクールで控えめな印象。ドアを開けると、ラグジュアリーで心地のいい空間が広がっている。


上質で座り心地の良い6つのシート、美しい仕上がりのダッシュボード、見晴らしの良い運転席......。おおらかさとスタイリッシュさ、優しさ、そして新しさが、そこかしこにちりばめられている。走らせると、さらに印象は良くなる。3.6ℓエンジンは自然吸気ユニットらしい爽快な吹け上がりを見せ、走りもSUVっぽさを感じさせない落ち着いた挙動を示す。全長5060mm、全幅1960mmというゆったりしたサイズにもかかわらず、ドライバーと一体感を覚える運転感覚もうれしいところ。アメリカの懐の深さが感じられる一台。


山田弘樹の意見! 洗練されている!

全長は5mオーバーで、全幅は約2mもある。しかも3列目のシートまで備えたアメリカ製のSUV。そう聞くと、ついドロロロロ......ズドドドドと騒ぎ立てるエンジンや、ふわふわすぎる足まわりというイメージを抱いてしまう。けれど、そんなステレオタイプを謝りたくなるほど、この新しいキャディは洗練されていた。XT6の3649ccの排気量を持つ自然吸気V型6気筒ユニットは、最大トルクこそ37.5kgmしかないけれど、9段ATとのマッチングが良好で、2tを超える巨体がまるで雲の上を走るようにスーッと加速して行く。


このエンジン、特に常用域のマナーが紳士的で、とっても静かなのだ。アクセレレーターを目一杯踏み込めば鮮や=かな吹け上がりも見せてくれるけれど、XT6はゆったりと走らせる方が断然楽しい。乗り心地もしかりだ。そ の身のこなしにブワブワとした緩さなどは微塵もなく 、むしろ鍛え抜かれたアスリートのようなしなやかさがある。エンジンとシャシーのトーン&マナーの揃いっぷりに、新しい世代のアメリカ車を感じた。

吉田由美の意見! シート・モンスター!

ズバリ!キャデラックXT6のスゴいところは迫力ボディと室内空間の広さ&シート。キャデラックのラインアップの中ではさらに大きなエスカレードがありますが、それでは大きすぎるという人のために少しだけコンパクトなXT6。とはいえ、全長は5mを超え、車両重量も2110kg。キャデラックのアメリカ大統領専用車ビーストを思わせる迫力ボディ。3列シートで3列目でも足元空間もヘッド・クリアランスも広く、何より1つ1つのシートの厚みが凄い! 


3列目のシートでも包まれ感と守られている感が抜群。2列目の間が広いので、3列目まで真ん中を通って移動も可能。さらに各シートの空調にはイオン発生機も装備され、1、2列目はシート・ヒーター付き。さらに室内の静粛性を向上させるためアクティブ・ノイズ・キャンセラーを装備。キャデラックが特許を持つセーフティ・アラートがドライバー席に装備されているそう。さすがに使ったコトはありませんが、危険を感知するとシートが教えてくれるらしい。XT6のシート凄い!


国沢光宏の意見! エスタブリッシュメント

何度か書いてきている通り、1度キャデラックと過ごしてみたい。そんな私からすれば、ニューフェイスのXT6って大いに気になる存在。デザインからして「いいね!」。お得意のアメリカン・フォーマルをSUVに入れ込んだ感じ。気合いで乗るならトラック・ベースの 巨大なエスカレードも面白いけれど、日本で実用車として使おうと考えるなら、XT6が上限サイズだと考えます。キャデラックらしいシックなインテリアに囲まれ るドライバーズシートに座り、Dレンジをセレクト。アクセルをゆっくり踏み込むと、V8ほどの個性こそ無いものの、今や希少になってきたV6のビートを響かせ2110kgのボディを過不足無く走らせる。


9段ATは米国車らしく超滑らか。普通に加速していると変速していることすら感じさせないほど。アメリカ車の特徴と言えば「存在感」だと思っている人も多いけれど、キャデラックに限って言えば良い意味での"エスタブリッシュメント"そのものだと感じる。世界No.1と評され るオーディオを楽しみながら、クルーズ・コントロールをセットすれば、ロングドライブだって快適至極。


(ENGINE2020年4月号)

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