ENGINE WEB

CAR 2020.3.7 

【ガレージ取材】アルファ・ロメオSZやASA1000など イタリア車をこよなく愛する

アバルトやランチアなど、多くのイタリア車でヒストリックカー・ラリーを楽しんできた川瀬友和さんが自身初のアルファ・ロメオとなるSZを購入。これからはこのイタリアの雄でイベントに参加していく。

年に一回のペースでコンスタントに開催されているディーノ・オーナーらによる全国ミーティングで知り合った川瀬さんは、複数のスポーツカーをさらりと乗りこなしている。

腕時計やモーターサイクルにも造詣が深く、自宅の近くに設けたガレージには、その道に精通している人が見たら「ムムッ」と思うようなアイテムを飾っており、スポーツカーの一部もそこに保管されている。ガレージの中はさながら秘密基地のような空間となっているのだ。

二輪はモトム、アグスタ・ツーリスモ、ベスパP125、BMW R75を所有し、足グルマとして、フィアット500CやVW・T3ヴァナゴンを愛用中。

自身初のアルファ・ロメオ

川瀬さんとはヒストリックカーのイベントで何度かお会いしているが、その度に乗っているクルマが違っていた。あるときは1959年式フィアット・アバルト750レコルト・モンツァ、またあるときは1960年式ランチア・アッピア・ザガートGTEといったように、私が知っているだけでも4台のスポーツカー、しかもすべてイタリア製の有名どころを引っ提げて参加していたのだ。

そんな川瀬さんが最近購入したのがこの1960年式のアルファ・ロメオSZ。何台もイタリア車を乗り継いでいる川瀬さんだが、アルファ・ロメオをガレージに並べるのは今回が初めてだという。

今後、タイヤをピレリのチンチラートにし、ホイールは前輪にリムがアルミ製のボラーニ、後輪にマグネシウム合金製のアマドレをセット。この姿でジーロ・デ・軽井沢に参戦したいという。

「この前、イベントでお会いしたときはアッピア・ザガートでしたよね。実は、そのアッピア・ザガートとレコルト・モンツァは手放しちゃったんですよ。保管場所はあるし、愛車を頻繁に入れかえるのはイヤなので、本当は残しておきたかったのですが、SZをガレージの中に迎え入れたときのことを考えたらクルマのキャラクターがかぶるな、と思ったのがひとつめの理由。」

「さらに、SZを加えると足として使っているクルマを含めると所有車が8台になってしまう。これはさすがに税金やら保険やらの支払いが負担になるので、愛車の数を減らした方がいいのではと思ったのがもうひとつの理由です。というわけで、SZを買うタイミングで泣く泣くランチアとアバルトを手放しちゃいました」

アルファはオールマイティ

以前イベントで見た2台はSZの代わりにすでに川瀬さんの元から旅立っていた。その2台を手放してまで購入したSZはさぞかし思い入れがあるに違いない。

「このSZは以前、ザガート創業家のエリオ・ザガートが所有していたクルマなんですよ。ザガートの創業者、ウーゴ・ザガートの息子である彼は、自身が製作に携わったスポーツカーをコレクションしていたらしいのですが、そのときに持っていたのがこのSZだといわれています。」

「どうやら、レストア中にザガートの経営が傾いてきて、エリオさんがこのSZを手放したらしいのです。しかも、このクルマをレストアしたのはかつてザガートに勤めていたのちに自身の工房を開設したガルビアティさん。1987年に彼のガレージでレストアしたことを示すステッカーがトランクフードの裏側に貼られています。それが巡り巡って、私のところにやって来たというわけです」

レストア工房"ガルビアティ"で仕上げられた経歴を持つSZは58番目に造られた車両で1960年式。

なんとも凄い経歴を持つクルマを買ったものだ。しかし、川瀬さんがSZを購入したのは偶然ではなく、以前からアルファ・ロメオのことが気になっていたという。

「公道を走れるアルファ・ロメオの頂点はSZと同じくザガートが手掛け、1962年に登場したTZ1だと思っていたので、TZ1を探していたのですが、コレなら買っても大丈夫というクルマがなかなか見つからなくて。模造車が多く、本物を探すのが大変だったんですよ。ずっと気にしていたものの、そのうちに高価になってしまい、購入するのが難しくなってしまいました。」

「日本国内のつながりで買おうかなと思ったTZ1が何台かあったのですが、縁がなかったということですね。その後、ショップだけでなく、個人オーナーとのつながりで探していたところ、あるとき、このSZが出てきたわけです。〝もう、これしかない〟と思って買ってしまいました」

イタリア車に造詣の深い川瀬さんに初めてのアルファ・ロメオはどのように感じられたのだろうか。

「SZはアクセルが軽く、エンジンの吹け上がりもいいので、驚くほど軽快に走れますね。感動しました。つい最近まで愛用していたレコルト・モンツァは747ccのモノアルベーロ(シングル・カム)エンジンのおかげで、低回転域からトルクがあり、さらにボディが軽かったので、街中や郊外の峠道で楽しむことができました。」

「もちろん道が空いている時間帯に限定されますけど......。それに比べてSZはアバルトよりも全方位的にゆとりを感じられて、乗りやすさと楽しさが共存しています。ASAと同じようにオールマイティなスポーツカーといった感じですね」

SZを買ったら、コイル、デスビなどが付属していたらしい。エボナイトのステアリング・ホイールは自分で買ったもの。

きっかけは12気筒のフェラーリ

いまでこそ熱心なイタリア車フリークになった川瀬さんだが、以前はドイツ車ばかりに乗っていたという。

「アバルトとランチアを手放したのでガレージの中が少し寂しくなりました。それでもまだ、1973年式のディーノ246GTと1965年式のASA1000、そしてアルファ・ロメオSZがあるので、愛車の中におけるイタリア車の比率は高いままです。1965年式ホンダS600クーペという日本車もありますけどね。」

1965年式のホンダS600クーペは30年間納屋に眠っていたのでオリジナル塗装をキープ。総合ホビー・メーカーのトミーテックがS600クーペをモデル化するにあたり、このクルマを参考にしたという。米軍向けに5台だけデリバリーされたうちの1台なので左ハンドル仕様だ。ステアリング・ホイールはテニス・ラケット・メーカーのフタバが作ったもの。

「このクルマはオリジナル塗装を維持しているなど程度が良い上に、米軍のために特別に5台だけ日本で販売された左ハンドルというヒストリーが気に入って購入しました。イタリア車に傾倒する以前はドイツ車ばかりでした。車名を挙げると、大学時代に乗り継いだ2台のビートルに始まり、W123型のメルセデス・ベンツ300TD、ゲレンデヴァーゲン、ポルシェ914と911Tなどです。ポルシェは完成度が高すぎて、自分には刺激的なクルマに感じられなかったので、911Tを手放してディーノを買い、914の代わりにASAを手に入れました。」

愛犬のジャムくんがいる自宅のガレージに収納されていることが多い1965年式のASA1000GT。その設計と製作にはフェラーリが携わっていたので、同時代のフェラーリ250や275のパーツも使われている。ドライビング・ポジションが最高で運転しやすく、エンジンがツインキャブなので走りやすいそうだ。

「イタリア車に邁進するきっかけとなったのは、友人が乗っていたクイーンメリーと呼ばれるフェラーリ365GT2+2です。12気筒エンジンの官能的なサウンドと走行フィーリングがあまりにもドラマチックだった。このクルマに触れたことで、自動車趣味の方向性が一気にイタリア車へとシフトすることになりました」

1973年式のディーノ246GT-Eタイプは、ロッソディーノと呼ばれるフェラーリのオリジナル・カラーを纏っている。

SZが格段に面白いクルマだという確信を早くも得た川瀬さんは、さらに自分好みのクルマに仕立てるため、タイヤとホイールを交換する準備を進めている。川瀬さんとSZがイベントに颯爽と現れる日は近い。

文=高桑秀典 写真=郡 大二郎

総合アクセスランキング

最新の人気記事

CAR トップへ