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CAR 2020.2.22 

【ガレージ取材】メルセデス・ベンツ500Eとタイプ993のカレラ4S 2台の濃密なドイツ車とオシャレな自宅ガレージ

40年以上続けたクルマ関係の仕事を2018年に65歳でリタイアしたTさん。「いいクルマとはどういうものか」を約半世紀にわたって追求してきた紳士は、キレイに磨き上げられた玄人好みの2台のドイツ車を愛用している。

驚くほど洗練された家の中から出迎えてくれたとびきりスタイリッシュなジェントルマンが今回の主役であるTさん。40余年にわたってクルマ関係の会社に勤務し、サービスとセールスの両方を経験したクルマのプロフェッショナルで、現在、メルセデス・ベンツ500Eとポルシェ911を所有している。

40余年も勤務したのちに第一線を退いたということは、普通に考えれば現在の年齢はかるく60歳を超えているはずだ。しかし、Tさんの見た目はとてもそんな年齢に思えないほど若々しい。

「19歳のときにクルマ業界に入り、46年間、同じ会社に勤めていました。2018年に65歳でリタイアしまして、現在66歳です」"えっ66歳!?"と心の中で驚嘆していたら、Tさんが愛車のメルセデス・ベンツ500Eとポルシェ911が収納されているガレージへと案内してくれた。さすがはクルマの販売経験もあるTさん。自邸とはいえ、愛車を紹介するまでの動きがスムーズだ。

ガレージは正面だけでなく玄関ホールの脇からもアクセスできるのだが、玄関に入ってまず驚いたのが玄関ホールにずらりと並べられた数多くの革靴。しかも、階段下にも靴専用の棚があり、ざっと見積もっただけでも30足以上ある。

「靴には営業職へ異動したときにハマりました。フルオーダーのビスポークもあります。既製品とビスポークでは作りそのものがけっこう異なっているんですよ。もちろんフィット感や"返り"など履き心地も違います。実は靴って奥が深いんです」

さらにTさんは靴だけでなく、英国製のアンティーク家具やペルシャ絨毯にも造詣が深いようで、玄関ホールや2階にあるリビングのあちらこちらに置かれ、いいアクセントになっている。

「凝り性なんです」とTさんは笑う。

15年ぐらい前からビスポークの靴を作るようになり、2人の職人に製作をお願いしているという。玄関ホールには、バーカー、ジョンロブ、エドワード・グリーン、オールデン、チャーチ、クロケット&ジョーンズ、J.M.ウエストンなどの革靴も並ぶ。
家具はオークやウォールナット、マホガニーなどで英国製のアンティーク、床にはペルシャ絨毯など、調度品にも徹底的にこだわっている。

駆け込みで空冷を購入

ガレージにはキレイに磨き上げられた500Eと911が1列に並ぶ。「500Eは見た目が最終限定モデルのリミテッド仕様になっていますが、1992年式の前期型です。ボンネット、トランク・リッド、前後バンパーは後期仕様に変更されています。最初からこの仕立てになっていたクルマを2003年に買いました。仕事の関係で500Eはどこをどういう風に直せば完調になるのかというキモを知っていましたから、購入後に150万円ほどかけて修復や改良を行いました。500Eは3ℓまでのエンジンを積む設計になっている車体に5ℓのV型8気筒ユニットを搭載しているので、常にオーバーヒート気味になるんです。それを解消するための熱対策をはじめ、500Eライフを快適に楽しむために不可欠な処置を施した感じですね」

純正装着されるブレンボ製のモノブロック・ブレーキは効きが弱いらしく、本気で走るTさんはワンオフで2ピース・ローターを製作。それにポルシェ・カイエン・ターボ用のブレーキ(油圧システム全体)を組み合わせている。ホイールはリミテッドの純正品と同じデザインのニーズ製。エンジンの熱対策も万全だ。

500Eの後ろには、ガレージの奥部で静かに羽を休めている真っ赤なポルシェ911がたたずむ。

「911を買おうと思ったのはちょうど水冷式の996がデビューしたときでした。しかし実車を見て、"これじゃないな"と思い、狙いを空冷の993に変更して探すことにしたのです。本当は、シルバーか白が欲しかったんです。でも、私が買いに行ったディーラーで新車購入できたのは、ターボとカレラ4Sだけだったんですよ。ターボはオーバー・スペックだと思っていたのでカレラ4Sをチョイスしたら、当初、ボディ・カラーはターコイズブルーしか選択肢がありませんでした。ところが最終的な商談を行う前日にガーズレッドという赤のカレラ4Sが出てきたという連絡をもらったんです。そこでターコイズブルーとガーズレッドの2台を実際に目の前に並べてもらい、営業さんの勧めもあって最終的に赤を買うことにしました。1998年の話ですね」

Tさんが1998年に新車で買ったタイプ993の911カレラ4SはMT仕様。空冷ポルシェのMTは今やお宝となっていて、新車時と同じ価格で買い取るという話が舞い込んできたことがあるという。

 

次の狙いはホットハッチ

Tさんに911と500Eに至るまでの車歴についても伺ってみた。「500Eを買うまでは1990年式のメルセデス・ベンツ300TDに乗っていました。W124型のターボ・ディーゼルです。ボディ・カラーは当時の定番色であるブルーブラックでした。このクルマには2000年まで10年ほど乗りました。石原都知事のペットボトル・パフォーマンスから始まったディーゼル車の規制が強化されるのにともない手放すことにしたのです。その3年後に500Eを買いました。少しだけブランクがありますが、124型を2台乗り継いだことになりますね」

300TDを購入した頃、マニュアルトランスミッションのメルセデス・ベンツが欲しいと思ったこともあり、装備が簡略で、教習車として使われた190シリーズのMTモデル、"アンファング"の購入も考えたらしい。ただ、当時は軽油の値段がいまよりも安かったこともあり、結局、300TDを購入したのだという。

スマート・フォーフォーは2006年式で、他の2台と同じように、このクルマもポテンザRE-71Rを履いている。

Tさんは、三菱のコンパクトカー"コルト"の兄弟車の初代スマート・フォーフォーも所有している。いずれ、このフォーフォーを欧州製の小さなMT車にチェンジしたいらしい。「今、プジョー208 GTiの左ハンドルのMT車が都内にあるイタリアとフランス車専門の中古車店で売っていて、気になっているんですよ。フォーフォーと入れかえたいなと思っていますが、500Eもどなたか欲しい方がいればお譲りしてもいいかなと思っています。ただ、つい最近も500Eで中国地方までロング・ツーリングに行ってきて、その素晴らしさを実感してきました。ということで、500Eに関しては、今すぐ手放すというわけではなく、大切にしてくれそうなオーナーさんが現れたら、どうするか考えるということですね。500Eはブレーキが効かないので、ブレーキさえ強化すれば本当にいいクルマです。ちなみに私の500Eはポルシェ・カイエン・ターボ用のブレーキを流用して、ばっちり強化済みです」

Tさんは年齢的にみれば大先輩だが、500Eのことを意気揚々と語る際のTさんの横顔は、まるで少年のようだった。

ポルシェ911でもしっかり走っているというTさんは、これからも500Eと911をパートナーとした濃密なドイツ車ライフを楽しんでいくだろう。そこにプジョー208GTiのようなホットハッチが加わることで、Tさんのカーライフはますます熱いものになっていくはずだ。

Tさんのこだわりが詰まった家は3年ほど前に建てられた。

文=高桑秀典 写真=郡 大二郎

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