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CAR 2020.1.20 

BMW X7 VS ジープ・ラングラー 独特の大型SUVに国沢光宏が乗る どっちがいいか?

2019年6月に上陸したBMWの最上級SUV、新型BMW X7と、軍用車を祖に持つ本格派4WD、ジープ・ラングラーの面白さを、 ジャーナリスト、国沢光宏が探った。

どっちがいいか?

改めて説明するまでもなく昨今人気のSUVながら、この2車種はその本質を見ると鮮やかな違いを見せる。そもそも履いているタイヤからして、同じジャンルのクルマとは思えない。今回試乗したX7の場合、驚くべきことに315/35R22というオプション・タイヤを履く。サイズだけ聞いたらスーパーカーとしか思えない。

一方のラングラーはFCAが17インチのオフロード用タイヤを履かせていた。最上級グレードのルビコンにはマッドテレーンと呼ばれる極悪路用のタイヤが標準で装着されているからたまげる!

X7の22インチ・タイヤだと「砂利道なんか走るつもりは到底ありませんね旦那?」だし(そもそも35扁平で悪路を走ったらバーストする)、ラングラーが履いているオールテレーンであれば「やっぱり砂利道もガッツリ走っちゃいますか」という方向性。

その他、搭載されているエンジンから、走りの質感、クルマそのもののコンセプトまで違う。もはや「どちらがいいか?」という比較にならない。そこが面白い。好みやライフスタイルで選ぶことになる。以下、もう少しジックリと2車を掘り下げて行きたいと思う。

BMW x7 XDrive 35d

巨体からは想像できないハンドリングの良さ もX7の魅力。
直線基調のモダンなデザインが目を引くX7のインテリア。ア イボリーのメリノ・レザーがオプション装着されていた。全長5165mm、全幅2000mmという巨体ながら、運転席からの視界が良く、サイズは気にならなかった。
2-3-2の7人乗りと2-2-2の6人乗りが用意される。試乗車は6人乗り。3列目のシートの居心地は優良可で言えば可。長距離移動はツライだろう。
荷室の容量は326~2120ℓ。

SUVブーム

今のSUV人気は1983年に発売されたジープ・チェロキーとパジェロから始まっている。それまでオフロードを走るクルマといえば、軍用車に始まる元祖ジープと、第2次大戦後に開発された英国のランドローバー、新興勢力であるメルセデス・ベンツのゲレンデ・ヴァーゲン(1981年~)、そして我が国のトヨタ・ランドクルーザーぐらいしかなく、いずれも極めて劣悪な乗り心地と簡素なインテリアを辛抱しなくちゃならなかった。1970年に乗用車的な快適性を持つレンジローバーが登場したものの、高価だったため普及に至らず。

明らかに流れが変わったのは1990年代に入り乗用車をベースとしたスバル・レガシィ・グランドワゴンや、モノコックボディから作られたクロカン風のホンダCR-Vが登場してからだ。意外なことに現在大人気のSUVは、日本車から始まったのだった。いまやマセラティやベントレー、ロールスロイスまで背の高いモデルを作り始め、気付けばSUVが一番ホットなジャンルに!

快適至極のX7

X7は、BMW流にアレンジされたモデルとなり、パーフェクトなオンロード仕立てとなる。

前述の通りタイヤは22インチのスポーティ・ブランドで、サスペンションも舗装路を走るためシャッキリした味付けになっている。高速巡航やワインディング・ロードを走ったら快適至極!

大きな路面の継ぎ目を通過するときにボディが共振するのを除き、大型サルーンに乗っているのと同じくらいの快適性を持つ。X7という車名を見ても解る通りBMWとしては7シリーズ相当のプレミアム感を確保したということなんだろう。実際、7シリーズ・セダンと比べたって圧倒的に押し出しが効く。その気になれば7人乗れるし。

搭載されるエンジンはBMW得意の直列6気筒。3リッターのディーゼル・ターボで、最高出力の265㎰こそ目立たないが、最大トルクは6リッター・ガソリンに匹敵する620Nmもある!

2420㎏と超ヘビー級のボディをモノともせず走るんだから素晴らしい。それでいて燃費は街中を普通に走って10㎞/ℓ前後。高速道路をジェントルにクルーズすれば13㎞/ℓ以上走る。このクラスのクルマを買う人は燃費など気にしないだろうけれど、二酸化炭素の排出量で考えたら、少ない方が良いに決まっている。

オフロードは走れないかとなれば、そんなこともない。標準的な最低地上高が220㎜もある上、車高選択スイッチを「Hi」にすると目視で標準より30㎜くらい高くなる感じ。スタッドレス・タイヤに交換すれば相当な雪道性能を持つだろうし、インチ・ダウンして悪路も想定したハイトの高いタイヤに交換することで、山の中にある別荘へ行くための相棒として使えるだろう。

全幅2mというBMW最大級のボディ・サイズはロールスロイスに匹敵するインパクトを持つ。それでいてスタンダード・モデルなら1090万円なんだから、超オモシロイ。狙い目です。

JEEP WRANGLER UNLIMITED SAHARA

ホイールベースが先代より65mm伸びて後席の居住 性が向上した。
円形のエアコン吹き出し口と丸いメーターが一列に並ぶシンプルなデザインのインパネは、人気が高かったモデルCJ7のオマージュ。ダッシュボード中央のモニターはナビゲーション、オーディオのほか、車体の傾斜などを表示することが可能。シフトレバーの左側に2WD、4WDのセレクト・レバーを備える。
シートの掛け心地など居住性は先代より向上した。
テール・ゲートの開口部は大きい。窓の部分は跳ね上げ式。後席を倒した最大荷室容量は2050ℓ。

楽しいラングラー

ラングラーはX7と全く違う方向を向いたSUVである。いや、ジープに言わせたら「ラングラーが正統派であり、SUVの本家であるウチは断固として頑張る!」なのかもしれません。確かにクルマを見た瞬間から「いいね!」。昨今の乗用車的なSUVと全く違う。

未だにルーフやドアを取り外せるようになっており(ただし工具と巨大なパネルを保管する場所が必要)、ハンドルを握る度にオープンで乗りたい誘惑と戦わなくちゃならない。全部外した状態の広報車をFCAで用意してくれたらいいのに、と強く思う。

ドライバーズ・シートに座ると足元は全幅1895㎜もあると思えないほどタイト。これまた本格的なオフローダーの伝統的な風景である。Dレンジをセレクトして走り出すと、道路のデコボコを探す機械のような乗り心地だ。

良いか悪いかと言えば瞬時も迷わず「悪い!」。でも楽しいか、楽しくないか、と聞かれたなら、瞬時も迷わず「楽しい!」。自動車趣味ってそんなモンだと思う。快適な方が魅力的という単純なことにはならないから面白い。乗り心地が悪いのに、ハンドルを握っていると遠くに行きたくなる。未舗装路も走りたくなってくる。

搭載されるエンジンは3.6リッターV6(284㎰)と、2リッター4気筒ターボ(272㎰)の2タイプがある(どちらもレギュラー・ガソリン仕様です)。試乗車は2リッター・ターボのサハラだったが、過不足無く気持ち良く走ってくれた。嬉しいことにクラシカルな雰囲気ながら、アダプティブ・クルーズ・コントロールから衝突警報、ブラインド・スポット・センサーまで標準装備しており安心&楽チンなドライブが出来る。

最近面白いクルマがない、とお嘆きの諸兄にはぜひおすすめしたいと思う。きっと休日が楽しみになるだろう。

◼︎BMW X7 xDRIVE 35d Design Pure Excellence

駆動方式 フロント縦置きエンジン全輪駆動
全長×全幅×全高 5165×2000×1835mm
ホイールベース 3105mm
トレッド 前/後 1680/1705mm
車両重量 2420kg
エンジン形式 直列6気筒DOHCディーゼル・ターボ
総排気量 2992cc
最高出力 265ps/4000rpm
最大トルク 63.2kgm/2000~2500rpm
変速機 8段AT
サスペンション 前 ダブルウィッシュボーン/エア
サスペンション 後 マルチリンク/エア
ブレーキ 前&後 通気冷却式ディスク
タイヤ 前 後 275/40R22 315/35R22(オプション)
車両本体価格 1229万円

◼︎ジープ・ラングラー・アンリミテッド・サハラ2.0

駆動方式 フロント縦置きエンジン全輪駆動
全長×全幅×全高 4870×1895×1845mm
ホイールベース 3010mm
トレッド 前/後 1600/1600mm
車両重量 1960kg
エンジン形式 直列4気筒DOHCターボ
総排気量 1995cc
最高出力 272ps/5250rpm
最大トルク 40.8kgm/3000rpm
変速機 8段AT
サスペンション 前 マルチリンク/コイル
サスペンション 後 マルチリンク/コイル
ブレーキ 前&後 ディスク/通気冷却式ディスク
イヤ 前 後 255/70R18(オールトレーン)
車両本体価格 575万円

文=国沢光宏 写真=茂呂幸正

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