ENGINE WEB

CULTURE 2020.1.6 

第62回グラミー賞に現代を象徴するビリー・アイリッシュなど3人の女性アーティストがノミネート

世界が注目する音楽の祭典、グラミー賞が1月26日に開催される。今回、注目すべきは3人の女性たち。歌唱力だけではない、彼女たちの魅力とはどこにあるのか?

1月26日に開催される第62回グラミー賞。11月に発表された候補を見ると、どの部門にも女性ソロ歌手の名前がかなりの数並んでいる。

前々回は主要部門を受賞した女性歌手が一人だけだったため、「#GrammysSoMale(グラミー賞は男ばかり)」がツイッターのトレンドワード入りするなどして物議を醸したが、それを受けて米レコーディング・アカデミーは前回から女性と有 色人種の投票メンバーの割合を大幅に増やすことに。そのことが反映された傾向とも言えるが、実際19年は女性ソロ歌手の活躍が非常に目立った。

わけてもビリー・アイリッシュは、最年少で主要4部門を含む6部門にノミネートされるという快挙を成し、賞レースの大本命と目されている。プロデューサーの兄と二人だけの部屋で制作したデビュー作は、孤独、自殺、銃乱射といったリアルな恐怖を歌った非常にダークな内容でありながらも全米1位に輝いた。

BILLIE EILISH

ビリー・アイリッシュ『WHEN WE ALL FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO?』(ユニバー サルミュージックより発売中)。2019年を象徴する作品。毒を持ったダークポップだ。

そのビリーは先頃出演した英国のラジオ番組で、「アリアナ・グランデに賞を獲ってもらいたい。彼女は人生で最悪な1年を過ごしながら、あれだけのことをやったのだから」と発言。アリアナは最優秀レコードほか計5部門の候補に選ばれている。

17年5月にマンチェスター・アリーナでの公演が自爆テロの標的となって22人が死亡し、18年には元恋人のラッパー、マック・ミラーが薬物の過剰摂取で死亡。さらに次の恋人との婚約破棄もあったが、彼女はそうした 混沌と向きあいながら、“この世で最も正直で、最も前向きなアルバム”と言われる作品を作って大ヒットさせたのだ。

ARIANA GRANDE

アリアナ・グランデ『thank u, next』(ユニバー サルミュージックより発売中)。しなやかでしたたかな女性の強さを歌う表題曲、有名曲をサンプリングした「7 rings」などを収録。

だが今回最多の8部門にノミネートされたのは黒人女性のリゾだ。長い下積み時代にプリンスに認められて作品に参加したこともあったが、メジャーデビューは16年で、その時既に28歳。17年発表の〈トゥルース・ハーツ〉が海外ドラマで使用されたことでブレイクした。

ラップも歌も抜群の実力を持つリゾは、ステージやMVでレオタードを着てボディラインを強調し、アルバムのジャケットではヌードになって“ボディ・ ポジティブ”......即ち「自分のありのままの体型を受け入れ、肯定し、愛そう」というムーブメントのアイコン的存在に。ヒット曲〈ジュース〉でもダンサブルな音にのって自己愛を持つことの大切さをコミカルかつポップに伝えた。

誰が何部門獲るかは神のみぞ知るところだが、とにかく歌唱力がそのまま賞に繋がっていた時代はもう過去のこと。明確にして強い姿勢と主張がなくてはダイバーシティの時代に輝くことはできないのだ。

LIZZO

リゾはデトロイト生まれ、ヒューストン育ち の31歳。2017年発表のシングル「トゥルース・ハーツ」が2年越しで全米1位に。切れ味のあるラップもソウルフルな歌も素晴らしいが、赤裸々ながら弱さを強さに変える歌詞が多くの人々から圧倒的な共感を得た。デビュー作『コズ・アイ・ラヴ・ユー(スーパー・デラックス)』(ワーナーミュージックより発売中)

文=内本順一(音楽ライター)

総合アクセスランキング

最新の人気記事

CULTURE トップへ