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CAR 2019.12.24 

【試乗】4000万のロールス・ロイス・カリナンVS2000万ベントレー・ベンテイガ 突き抜けSUV乗り比べ!!

ピックアップの荷台に雨除けを付けた便利な多目的車としてSUVがスタートした当初、 誰がロールス・ロイスやランボルギーニからSUVが誕生することを予想しただろうか。 しかし21世紀も19年が経過した今、それが現実のこととして目の前に存在する。

荒井 ここではロールス・ロイス・カリナンを筆頭に、ランボルギーニ・ウルス、ベントレー・ベンテイガ、アウディQ8という4台を「突き抜け系」として集めました。

新井 もはや説明の必要はないかと思いますが、これまであったSUVの概念を打ち破る異次元の価値観を持ったSUV達です。

佐藤 それにしても、すごい顔ぶれ(笑)。本当に突き抜けた4台!

佐野 SUVという形態が、いよいよクルマのど真ん中の基本形になったということだと思います。

新井 クルマの基本形になったからこそ、スーパースポーツも最高級車も必然的に生まれた。さらには、仕事とプライベートをほどよく両立できる4ドア・クーペにも需要が出てきたんでしょう。

齋藤 SUVが突き抜けることになった発端は、ポルシェ・カイエンかな。それも、品質や性能レベルを一気に引き上げた初代カイエン・ターボだと思う。カイエンのおかげで、経営不振だったポルシェが一時的な政治劇とはいえ、VWグループを逆買収できるほどの企業になったんだ。

佐藤 ポルシェが初代カイエンを出したときに「911をつくり続けるためにも、これは必要な商品なんだ」とハッキリいっていましたね。

新井 そんなカイエンが売れたことで「ポルシェのSUVが認められたなら、なんでもアリ」という空気になったことは確かだと思います。

荒井 まあ、そこからベントレーやランボルギーニのSUVが出るまでには、それなりに時間がかかったけどね。でも、ベントレーが出たらロールス・ロイスも出したし、もうすぐ アストン・マーティン、そして来年にはついにフェラーリもSUVを出す。

佐野 突き抜け系メーカーたちが自分のテリトリーを守っていた理性のタガが、突き抜けちゃった!

荒井 レンジ・ローバーが「砂漠のロールス・ロイス」という異名を持っていたけど、ついに本物が出た。

佐藤 ホントですよね(笑)。

ROLLS-ROYCE CULLINAN

革、木、メッキ......のすべてが世界最上だが、デザインは意外にモダンなロールス。
ホワイト・レザーにパープルのアクセントという雅としかいえないコーディネートがまばゆい。

ウルスが普通に見える

佐野 ベントレーがベンテイガを出したときも驚いたけど、カリナンの衝撃はそれを上回っていた。SUVでもやっぱりロールスでした。オーラというか雲上感が半端ない。ロールスやベントレーのような高級車にもオーナーが後席に座るショーファー・ドリブン・カーと自分でステアリングを握るドライバーズ・カーがあるけれど、ロールスはやはり別格のショーファー・カーかとは思った。

荒井 今回写真を撮るためにクルマを順番に並べたとき、カリナンが入った瞬間に、これまで圧倒的だったベンテイガとウルスがちょっと普通に見えたのには驚いたな。

佐藤 ベンテイガやウルスが普通かどうかともかく、カリナンだけは「階級が違う人が乗るものなんだ」と心から実感させてくれます。

新井 ベンテイガも今回のV8ではなく12気筒モデルのラグジュアリー系トリムなら、また別物のオーラがあります。ただ、今回のカリナンはさらにその上をいく感じですが......。

佐野 カリナンのデザインはいわば「背の高いファントム」という風情だけど、ロールスも含めて、伝統的な英国車の「おもてなしグルマ」のプロポーションって、やはり決まっているんだと思いました。カリナンの後ろ姿なんて、遠目では、ロンドン・タクシーにそっくり。近見だと大きさもクオリティは別物ですが。

荒井 カリナンのオーラは各部の仕上げがいいこともあるけど、サイズが圧倒的に大きいこともあると思う。全長はウルスやベンテイガより約20cmも長くて、全高はなんと1.8mを超えているんだから。

齋藤 ただ、ロールスの場合はファントムでも背が高い。

新井 ファントムの全高は1645 mm。すでにウルスより背が高い!

佐野 圧倒的に背が高いうえに最重量級のカリナンは、身のこなしも優雅そのもの。今回みたいに箱根で走らせるのは可哀想に思えるくらい。

佐藤 そんなロールスに比べると、ベンテイガはコンチネンタルGTに通じるドライバーズ・カー。ミュルザンヌとはまったく違ってましたね。

齋藤 カリナンもロールスとしてはドライバーズ・カーだよ。

荒井 ロールスではやはりファントムだけは別格で、カリナンは良くも悪くも、あくまでロールスの範疇にあるとしても、ファントムほど後席の住人を気づかえる繊細さは持ち合わせていない。

新井 佐藤さんのいうベンテイガとコンチネンタルGTの関係と同じで、カリナンは値段を考えても、よりカジュアルなゴーストやレイスのSUV版と考えるべきでしょう。

佐野 それでも、オーラのつくり方は後発のロールスのほうが上手いですね。ベンテイガはビジネスとして大成功したけれど、ベントレーは今、「次のベンテイガ、もしくは新しいSUVはもっと圧倒的なものにしてやる!」と決意していると思う。

新井 ただ、カリナンは圧倒的なぶん値段も突き抜けていて、12気筒同士で比較しても、ベンテイガより1000万円以上高い。

荒井 カリナンの約4000万円という本体価格は絶対的にはすごいけど、それ以上に4000万円という値付けの自動車を企画開発して、それをすべての人に納得させるものを作り上げたことはもっとすごい。

SUVではなく“カリナン”

佐藤 カリナンはベンテイガに対しても、格のちがいというか、階級の差を感じさせていますよね。

佐野 ただその差は、そもそもベントレーはスポーツカー・メーカーというところにもあると思います。かつてロールスとベントレーは一体かつ同格で、ラグジュアリーでショーファー向けが主軸だったロールスに対して、ベントレーはドライバーズ・カーでスポーティなモデルが中心だった。今はベントレーにもショーファー用のミュルザンヌやフライング・スパーがありますが、彼らの本質はやっぱりスポーツカーでしょう。ロールスは後席に乗るクルマで、ベントレーは自分で運転するクルマ。 

佐藤 そのとおりですね。ベンテイガは自分で運転していて楽しい。

齋藤 ロールスのクルマづくりは今もドライブ・モード切り替えの類が一切ないところに象徴されている。実際にはパワートレインもサスペンションもすべて電子制御で、他社でいうスポーツからコンフォートにいたるプログラムが内蔵されているけれども、それをドライバーが選択することはできない。「すべてクルマで判断いたします。お客様にそんな煩わしい仕事はさせません」という態度はカリナンでも徹底されている。

新井 今回は都内から高速、箱根までカリナンを運転しましたけど、どんなスピードでも、クルマの乗り味がまったく変わりませんでした。

佐藤 その「人間を煩わせない」という感覚はカリナンを箱根で走らせただけでも分かります。今のロールスはBMW傘下なのに、なにもかもドライバー側で好きな設定が選べるのが自慢の「M」とは正反対ですね。<後編に続く>

BENTLEY BENTAYGA

超高級らしく内外装はいかようにもオーダーできるが、今回は黒革にカーボン・パネル ...... という現代スポーツ・テイスト。V8のベンテイガは12気筒より明らかに操縦性が軽快だ。

■ロールス・ロイス・カリナン

駆動方式 フロント縦置きエンジン4輪駆動
全長×全幅×全高 5340×2000×1835mm
ホイールベース 3295mm
トレッド 前/後 -/-mm
車両重量(車検証記載前後重量) 2750 kg(前1380kg:後1390kg)
エンジン形式 V型12気筒DOHC48V直噴ツインターボ
総排気量 6748cc
ボア×ストローク 92.0×84.6mm
最高出力 571ps/5000rpm
最大トルク 86.7kgm/1600rpm
変速機 8段AT
サスペンション形式 前/後 ダブルウィッシュボーン式/マルチリンク式
ブレーキ 前後 通気冷却式ディスク
タイヤ 前後 255/45R22 107Y/285/40R22 110Y
車両価格(税込) 3920万円

■ベントレー・ベンテイガV8

駆動方式 フロント縦置きエンジン4輪駆動
全長×全幅×全高 5150×1995×1755mm
ホイールベース 2995mm
トレッド 前/後 1689/1693mm
車両重量(車検証記載前後重量) 2480 kg(前1380kg:後1050kg)
エンジン形式 V型8気筒DOHC32V直噴ツインターボ
総排気量 3996cc
ボア×ストローク 86.0×86.0mm
最高出力 550ps/6000rpm
最大トルク 78.5kgm/1960-4500rpm
変速機 8段AT
サスペンション形式 前/後 マルチリンク式/マルチリンク式
ブレーキ 前後 通気冷却式ディスク
タイヤ 前後 285/40R22110Y/285/40R22 110Y
車両価格(税込) 2041万6000円

話す人=佐藤久実、佐野弘宗(まとめ)、荒井寿彦(ENGINE編集部)、齋藤浩之(ENGINE編集部)、新井一樹(ENGINE編集部) 写真=神村 聖

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